24.50.唯と鏡花

373: 名無しさん :2018/12/30(日) 01:43:26 ID:???
「久しぶりの再会だから、積もる話もあるけど……今は急ぎだから、早速やらせてもらうよ!」

「ッ……!鏡花ちゃん!」
「分かってる!はぁああ!!」

アトラもシアナも油断ならない相手だが、どちらも中~遠距離でのサポート的な能力だ。一気に接近して畳み掛けるのが、最速にして最善の策である。

「そう来ると思ったぜ……食らえ落石トラップ!」

だが、突然頭上から降ってきた大量の岩石に阻まれ、唯と鏡花は距離を取って回避せざるを得ない。

「くっ……!早く王様に追いつかなきゃならないのに!」
「こんな所で足止めを食らうなんて!」


「……あれ?」

シアナは唯たちの会話を聞いて違和感を覚える。彼女たちはシアナたちの目的を王に近寄らせない為の足止めと考えたようだ。
運命の戦士を呼び寄せたい王様と、王様を追いたい運命の戦士。その点に限れば目的は同じに思える。

「アトラ、僕にいい考えがある。一旦攻撃中止だ」
「えー?せっかく久しぶりに鏡花ちゃんをリョナれるのにー」
「リョナも含めていい考えってことだ。まぁ見てろ」

アトラにトラップ攻撃を止めさせて、一歩前に出るシアナ。そのまま唯たちに語りかける。

「唯ちゃん、君たちの目的は王様を止めることだろう?なら、協力してあげるよ」
「……協力?」
「最近死んでないから忘れちゃったのかい?ほら、運命の戦士は死んだ後、どうやって復活するっけ?」


例えば、唯と瑠奈が地下水路でスライムに犯し殺された際。あの時も、地下水路で死んだ後、二人が蘇ったのは……


「私たちは死ぬと、王様の近くで生き返る……!?」
「そういうこと。というわけで、殺してあげるよ唯ちゃん」
「あ、なるほど!デスルーラ的なやつをさせるってことか!シアナあったまいい!」

シアナの狙いが分かったアトラが指をパチンと鳴らす。だが当然というべきか、唯と鏡花の反応は鈍い。

「トーメント王は私たちを狙っている……やっぱり、私たちを利用してセーブ・ザ・クイーンを……!?でも、放っておくわけにも……」
「……えっと、王様を止めたいのは山々だけど、だからって殺されるっていうのは……」

だが、流石にシアナもその辺りは織り込み済みだった。

「いいのかな?王様のことだから、唯ちゃんたちがいなかったらいなかったでアングレームの遺産を手に入れる算段は立ってると思うよ?早く死んで王様を追わないと、取り返しのつかないことになるんじゃないかな?」

口先三寸でさも自分たちに殺された方がいいかのように説得するシアナ。しかも、言っていることは極端ではあるものの間違いではないのが余計に性質の悪い。

「トーメントクリスタル……セイクリッド・ダークネス……それに加えてセーブ・ザ・クイーンまで手に入れたら、もう誰も王様を止められないだろうね……ククク……」
「う、ううぅう……!」

しばらく俯いて逡巡していた唯だが、意を決したように顔を上げると、ゆっくりとシアナの元に無防備に近づいていく。

「唯ちゃん!?ダメ!きっと何かの罠よ!」
「鏡花ちゃん、私……私は急いで王様の所に行くから、鏡花ちゃんは後から来て……!」

「ふふ、流石唯ちゃん、凄い度胸だ……さぁ、すぐに殺してあげるよ」
(ククク、アドリブの割には中々上手くいったぞ……たまには自分から殺されに来たのをリョナるってのもいいな)

386: 名無しさん :2019/01/02(水) 21:54:05 ID:YRK6qvlA
「唯ちゃん!」
「鏡花ちゃん、ごめん……でも、すぐに王様を追うには、こうするしかないの……!」

王を追うために、敢えてその身をアトラとシアナに捧げようとする唯。それを見て鏡花は止めようとするが、唯の意思は固かった。

「アトラ君、シアナ君……私は王様を止める……前に約束したよね、王様を私が倒したら、2人は悪いことを止めるって」

「ああ、覚えてるよ唯ちゃん……だから今、僕に殺されてまで王様を追おうとしてるんだろう?」

「唯ちゃん……アトラ君とそんなことを……?」

以前唯と瑠奈がアトラとシアナと戦った時の約束を知った鏡花。それほどの決意を持って王を倒そうとしているのを見せられれば、鏡花は唯を止めることができなかった。

そして唯は嗜虐的な笑みを浮かべるシアナに気圧されながらも、わざと彼に殺されるのを止めるつもりはなかった。

そう、何か嫌な予感がするのだ。急がないといけないという、漠然とした嫌な予感が。故に、身を滅ぼしかねない行為も唯は取ろうとする。

「それじゃあ唯ちゃん……王様に新年の挨拶でもしてくるんだね!」

「あぅ!?」

突然唯の足元に現れた、唯の身体が丁度入るくらいの大きさの穴。そこにすっぽりと収まった唯は、受け入れたこととは言え、いざ今から殺されるとなると体がこわばってしまう。

「アトラ!溶解液トラップだ!」
「あいよ!ちょっとずつちょっとずつ溶かしてやるぜ!」

「唯ちゃん!」
「だ、大丈夫……!すぐに、王様を追うから……!ん、ぁぁああぁあああぁああ!!!!」

溶解液トラップ。人を少しずつ溶かしていく恐ろしいトラップを受けて悲鳴をあげる唯。
本当ならすぐにでも助けたい鏡花だが、王を追うためにはこうするしかないという現状に歯噛みする。


「うーん、諸々の事情で自分からリョナらればきゃいけない女の子……たまにはアリだな」
「普段は嫌がってるのを無理矢理リョナってるからな。たまには趣向も変えなきゃな」


アトラとシアナが喋っている間にも、溶解液はどんどん唯の体にかかっていく。
溶解液は唯の服を溶かし、パステルピンクの下着(wiki的には唯の下着4と同じやつ)が見え隠れする。
だが、今唯にかかっているのは都合よく服だけ溶かす水トラップではなく、都合よく顔とか胸とかの原型を留めながら相手を溶かして殺す溶解液トラップである。

「ぐ、っぅああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!や゛あ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛あ゛あ゛!!!ぐ、ゔう゛ぅ゛う゛う゛!」

右腕にかかった溶解液が、ジュウジュウと音を立てて皮を溶かす。反射的に左手で液体を払うも、その間に今度は左肩に溶解液がかかる。しばらく経つとシアナの開けた穴は溶解液に満たされ、唯の体は液に漬かってしまう。

「ぎ、ご、ぉおお……!は、やぐ、ごろじでぇ゛!!ぼ、ぐぅう……!わだ、しは……!おう、ざま゛を……!と……め……」

普通ならばとっくに絶命しているはずの唯であるが、都合よく顔とか胸とかは残す溶解液は、そう簡単に相手を殺しはしない。ゆっくりと、じっくりと相手を溶かし……最期の一瞬まで、相手に自らの体が溶けて消えゆく恐怖を与えるのだ。

413: 名無しさん :2019/01/24(木) 02:19:29 ID:q5/GYrbY
「あぁ唯ちゃん唯ちゃん唯ちゃん……恐怖に怯える表情も、羞恥に染まるその頬も、地獄の炎に突き落とされたような断末魔も……あぁ、全てが究極の甘美だよ……」

「げ、シアナが壊れてやがる……」

王のもとへ転生させるために唯を溶かし尽くしたアトラとシアナ。
久しぶりに唯へのリョナ欲を満たしたシアナは、これ以上ないほどの恍惚の表情を浮かべていた。

(唯ちゃん……この2人に殺されるのは怖いけど……わたしもすぐに追いかけなきゃ……!)

王を止めるため、命まで差し出し痛みに耐えた唯の覚悟を見て、鏡花も後に続くことを決める。

「あれ、王様からラインだ……げ、おいシアナ、唯ちゃん殺すのちょっと早かったってよ。」

「はぁ、はぁ……唯ちゃん……!君の姿はこの最新式録画カメラでばっちり隠し撮りさせてもらったよ……!帰ってからのホームシアター鑑賞が楽しみだ……!」

「……おい!シアナ!正気に戻れ!一緒にいるのも嫌になるくらいめっちゃキモいぞ!」

アトラが手をかざすと、シアナの頭上にビー◯た◯しの持っていそうなピコピコハンマーが現れ、そのまま頭を直撃した。

「いて!…………そんなこと言われても、特に時間指定はされてなかったからな。別に僕らの落ち度ではないだろ。……ま、鏡花ちゃんは合図を待ってから殺すとするか。」

「うわ!いきなり元に戻った……てかキモい間もちゃんと俺の話聞いてんじゃんかよ!」



「……アトラくん、シアナくん。私ほことも殺して。唯ちゃんを一人にさせるわけにはいかないの!」

合図を待ってから殺すとシアナは言ったが、鏡花はすぐに唯を追いたい身。
この2人と話している余裕はない。

「えー!そんな焦ってもいいことないぜ?俺らともうすぐ発売のキン◯ーについてでも語ろうや!」

「……アトラくん、シアナくん。ここで私を殺してくれないなら……暴れちゃうよ。」

「ふん。お前1人暴れたところで僕らは怖くな……」

「……?どうしたシアナ?」

言いかけて、シアナは止まった。
この状況、洞窟の中では鏡花の強力な魔法1つで倒壊の危険性がある。
もちろん、シアナの穴に緊急避難という手もあるが、そうすれば逃がしてしまう恐れもあるし、何度も逃げられるとは限らない。

極め付けに、自分たちは死んだら蘇らないが、鏡花は王のもとで蘇る。
こちらが殺そうと洞窟の倒壊で死のうと、とりあえず死ねればいい今の鏡花にとってはメリットでしかないのだ。



(……どうする?王様の合図なしに今死なれても困る。かといってほっとくと逃げられるか僕たちの身が危ない……)

「……マジックケージ、来いや!」

「え、なにっ……?きゃああああああっ!」

アトラが突然鏡花の頭上に召喚したのは、魔力を遮断する特殊な檻。
かわいい魔法少女を拘束して好きなだけエッチなことをしたいと思ったアトラが、同じ志を持つ教授協力監修のもと、性欲と根性で作り出した素敵なトラップである。

「うっ……!これ、魔法が使えない……!」

「……アトラ、僕の考えてることがわかったのか?」

「さぁ?俺は鏡花ちゃんを閉じこめておっぱいでも鑑賞したいなーって思っただけだぜ!シアナがなに考えてるかなんてしらねーよー。」

「……まあ、流石僕の相棒だと言っておくよ。」

414: 名無しさん :2019/01/24(木) 02:20:32 ID:???
「そうだ鏡花ちゃん、チョコ食う?王様の合図まで時間あるんだし、俺らとまったりティータイムしようぜ!」

「……い、いらないよ……!」

呑気な口調でお菓子を食べているアトラにうんざりする鏡花。
とはいえ、魔法少女は魔法が使えなければただの少女である。
脱出しようと何回か魔力を練り上げてみた鏡花だが、並みの魔力では突破できそうになかった。

「鏡花ちゃんさー……俺がまたリザに鞍替えしたから怒ってんのかな?そうだとしたらほんとに申し訳ねえわ……」

「……なんだ、結局お前は鏡花ちゃんからリザ推しに戻ってたのか。」

「レズ疑惑はデマだったからな!許される恋とわかりゃあ俺はずっとリザ推しよ。あのクールでプリティーな顔を初めて見たときの衝撃が忘れられねえ……!」

アトラはおもむろに隠し撮りしたリザの写真を取り出すと、写真の中のリザにフレンチキスをした。

「……闘技場でもクールな眼差しキュートなフェイスとかキャッチコピーつけられてたしな。イマイチなに考えてるかよくわかんないやつだが……まあ確かに顔はいいよな。」

「顔は、ってなんだよ!リザは声も可愛いし近づくとめっちゃいい匂いするし、あの金髪はサラッサラだし、タンスの中の下着もめっちゃ整理されててすげえ几帳面だぞ!」

「……最後のやつでお前がなにをしたのかわかった。」

ベラベラとコイバナを始めた少年2人。完全に気が抜けたような会話であり、鏡花のことなど忘れているかのようである。

(……くっ……!もっと、もっと魔力を上げてなんとかこの牢屋を壊さないと……!)

415: 名無しさん :2019/01/27(日) 19:16:28 ID:???
「うう……どうしても魔法が使えない……変身も出来ないなんて……!」
「へっへっへー。無駄無駄!この牢は魔法少女を生かさず殺さず閉じ込めるための罠だからな!」
「……ま、王様の合図が来るまで、大人しくしてる事だね」
「イヤよ!私はどうしても、唯ちゃんを助けに行かないといけないの!」
「ひひひ……どうしても大人しくしてられないのなら……」

マジックケージに囚われ、脱出できない鏡花。
そこへ、アトラが更なる追い打ちを仕掛けようと取り出した物は……

「じゃーーん!超強力水鉄砲だ!」
水鉄砲。
それも、15m超の飛距離を持つ強力加圧式ポンプにバックパック式大容量タンク等を備えた最新機種であった。

(ジュバッ!!)
「きゃああっ!?」
……その水圧は強烈で、当たるとかなり痛い。

「こ……今度は、何のつもりなの……?」
「アトラの事だから、また都合よく服だけ溶かす水かと思ったら……ただの水だな」
「そう……ただの水だ。でも、よく見てみろよシアナ……」

鏡花の着ていたブラウスがぐしょぐしょに濡れ、下に着けていたブラジャーが透けていた。

「きゃっ!?や、やだっ……!」
「うーん……やっぱ鏡花ちゃんも捨てがたいなー!このおっぱいには、流石のリザも敵わないぜ!」
慌てて胸を隠す鏡花。だがその豊満な乳房は、両腕をフルに使ったところで隠しきれるものではない。

「ほらほら!シアナの分の水鉄砲もあるから、二人であそぼーぜ!」
「うーーん。こういうエロ寄りな事して、アイナが知ったらなんて言うか。
でもこの位ならギリギリセーフか?……いや、やっぱアウトかな……」
「つーかさっきの状態の方がよっぽどキモかっただろ……
わかった。アイナには言わないでおくから、イロイロ手伝ってくれよ!例えば、ごにょごにょ……な!」
「……しょうがないな。お前がそこまで言うなら!今回だけ!特別だぞ!」
アトラに促され、強力水鉄砲を受け取るシアナ。
口ではアイナの事を気にしてはいたが……わりとまんざらでもなさそうであった。

「ていっ!」
「それそれっ!!」
(ビシュッ! ズバババッ!!)
「くっ!……あんっ……!!」
二方向から責め立てるシアナとアトラ。胸と顔を防御する鏡花。
水鉄砲とはいえその水圧はかなり強く、両足を踏ん張ってないと倒されてしまいそうな程だった。

「へっへっへ……今だシアナ!必殺、バーチカルショット!」
「OK!……くらえっ!!」
(ブゥゥゥン……ズムッ!!)
アトラたちには、鏡花の防御を崩す秘策があった。
シアナが空間に穴をあけ、そこへアトラが水鉄砲を打ち込む。空間の出口は、鏡花の……

(シュバババババ!!)
「……ひゃひいいいぃぃっ!?」

「おー、いいリアクション」
「いやー、アイベルトじゃないけど、こういうライトなのもたまには悪くないな!」

……スカートの内側。それも完全に無防備だった秘所とお尻へのダイレクトアタック。
上半身に意識を集中していた鏡花は、たまらず甲高い悲鳴を上げさせられてしまった。

416: 名無しさん :2019/01/27(日) 20:16:47 ID:???
(ズバババッ!!)
「きゃっ………!」
(ビシュシュシュシュッ!!)
「……ひあっ!!」

「へっへっへ……ほらほら、今度はおっぱいががら空きだぜ!」
「ま、腕2本じゃどう頑張っても防ぎきれないからね……ほら、今度は背中だ」
「と見せかけてパンツ!」
(ジュバババッ!!……ジュブッ!)
「あぐっ……ひううんっ!?」

シアナの能力で空間に穴をあけながら、四方八方上下から予測のつかない水攻撃を繰り出す二人。
鏡花は逃げ場のない魔法封じの檻の中でひたすらに弄ばれ、
胸も背中も、顔も髪も、パンツの中までずぶ濡れにされてしまった。

「はぁっ……はぁっ………ど、どういう神経してるのよあなた達…!
友達とか好きな女の子の話は、普通にするくせに……女の子を捕まえて酷い事するのは、何とも思わないの!?」

単なる水鉄砲とはいえ、強烈な水圧を何度も叩きつけられて、かなり疲労も蓄積している。
しかも下からも攻撃が来るため、座って休む事すら出来ない。
そんな鏡花の必死の抗議に、二人は……

「……まあね。アトラやアイナや王下十輝星のみんなは友達だし、何より死んだら終わりだし、大切だけど……」
「唯ちゃんや鏡花ちゃんに対しては、な~んかそういう感情は沸かないんだよな。
もちろんリョナったりエロい事するのは楽しいけど!」
……ただ、冷めた反応を返すだけだった。

「まあ言ってみれば、俺らはSSレアな『特殊能力』を持った『廃課金プレーヤー』。
鏡花ちゃん達は、無課金……いや。異世界人だから……NPCかな?」
「ああ。その例えは割と近いかもな。何せ、鏡花ちゃん達は……」
「な、何よそれっ……!…住む世界が違ってたって、私達だって人間なんだよ!?そんなの酷すぎるっ……!」
……そんな二人の態度に、鏡花も我慢の限界が近付いていた。

王の配下である少年達は、もちろん敵ではあるのだが……
友情や恋愛感情など、人としての感情を持っているなら、話し合って分かり合えるかもしれない。
そう思って、執拗なおっぱい責めや多少のセクハラも、ある程度は大目に見ていた?というのに……!

「大目に見てたっけ?」
「まあ確かに土下座したらおっぱいぐらい揉ませてくれそうな雰囲気あるけど」
「ない!から!そんな雰囲気!とにかく私……もう怒ったんだからねっ!」
鏡花は濡れた胸やパンツから手を離すと、全身の魔力を高め始める。
大気の振動と共にマジックケージがギシギシと音を立て、鏡花の身体からは魔力のオーラが少しずつあふれ始めた。

「あ、これ……」「……ヤバくない?」

417: 名無しさん :2019/01/28(月) 19:22:30 ID:???
(こんなところでこの子達にエッチなことされてる場合じゃない……!唯ちゃん、瑠奈ちゃん、アリサちゃん、彩芽ちゃん……そして、水鳥のためにも!)

「うおっ、鏡花ちゃんの周りのマナが……!」

「凝縮していく……?」

その時、不思議なことが起こった!
とでもナレーションを挟みたくなるような量の魔力が、鏡花の体に集まっていく。
突然のマナ量に耐えられなくなったのか、アトラのマジックケージはガタガタ、ギシギシと不穏な音を立てながら軋み始めた。

「チッ……運命の戦士、やっぱり侮れないな!立てアトラ!多分壊れるぞ!」

「まじかよ!これから服溶かす水で特盛デカ乳お楽しみタイムといきたかったのに!」

「はあああああぁっ!!!」

シアナの宣言通り、マジックケージは鏡花の魔力に耐えられず、バリーン!と大きな音を響かせて崩壊した。

(みんなのためにも……もう負けない!)



「変身!!!」

少女らしい高らかな声でそう叫ぶと、鏡花は光に包まれ……
爪先から頭の上まで可愛らしい装飾に包まれた、金色の盾を持つ魔法少女、リフレクトブルームへと変身した。

「おおー!やっぱいいねー魔法少女の変身って!光に包まれて大事なところを隠しながら、可愛いコスプレ姿に変身とかさぁ……もう私をリョナってくれと言わんばかりだよな!」

「アトラくん……私をあの時と同じただのか弱い女の子だと思ってるなら、後悔するよ!」

「お、結構言うじゃねえの……!どうせならそういう風に反抗的じゃないと面白くねーからな!やる気マックスになってきたぜ!」

「アトラ、油断するな……おっぱいばっか見てると、この前の唯ちゃんたちにやられかけた時みたいに、足元を掬われるぞ!」

「へっ!鏡花ちゃんは土下座すればなんでもしてくれそうな優しい女の子なんだ!俺たちになんて勝てるわけ……」

「シャイニングバースト!」

「え?……うわああああああ!!!」

なんだかんだいってる間に詠唱を終えた鏡花の上級光魔法が、アトラを吹き飛ばしていた。



「私は土下座されてもなんにもさせないし、その前に……ルミナスの戦隊長なんだってこと、忘れないでよね!」

430: 名無しさん :2019/02/11(月) 01:14:44 ID:B7zYbEME

「ルミナスの戦隊長、ね……なら当然、仲間は大切だろう?」

「……?なにを……」

「クク、鈍いな……いいか市松鏡花、これ以上抵抗するなら、この間僕らの仲間が捕まえたルミナスの子たちの安全は保証できないぞ」

「っ!?くっ……!そんなの、卑怯よ……!」

変身して一転攻勢に出た鏡花だが、追い詰めたはずのシアナの一言に動けなくなってしまう。

(おいシアナ、それって……)
(ハッタリだ、今ここであの連中をどうこうはできないし、どうせノワールやフースーヤが滅茶苦茶リョナってるだろうから安全の保証なんて最初からない)
(でも鏡花ちゃんには効果テキメンの脅しだな……さっすが俺の相棒、機転が効くぜ!さっき王様からライン来たし、サクっと殺しちゃおうぜ!)

「……なら、抵抗しないから早く私を殺して。王が何を企んでいるか知らないけど……唯ちゃんを助けに行かないと」

「もちろん、そのつもりさ……て言うか最初から下手にイタズラしないでこうしてればよかったな」

「まぁまぁ、水鉄砲でイジメられてる鏡花ちゃんエロかったしいいじゃん……っと!」

「っ……!」

こうして、男キャラが追い詰められるあんまり需要のないシーンはカットされ……アトラの様々なトラップが、鏡花に牙を剥いた。

431: 名無しさん :2019/02/11(月) 22:23:36 ID:???
(ドゴッ!!ザシュッ!!)
「きゃあああああっ!!」
棘付きの巨大ハンマーが、棒立ちになった鏡花の身体を吹き飛ばす。

(バシュン!!バシュン!!バシュン!!)
「ぎゃうっ!!あぐっ………うああっ!!」
続いて、金属製のネットが鏡花の身体を空中で捕まえ、激しい電流で鏡花の全身を焼き焦がした。

(ブオンッ!!………ドカッ!!)
「…あぐっ………!!」
電流を放ち終えると、ネットはぐるぐると鏡花の身体を振り回した後、地面に叩きつける。

「はぁっ……はぁっ………唯ちゃん、待ってて………
今、そっちに………っっぁあああああっ!!」
(…………ガシャン!…ガシャン!…ガシャン!…ガシャン!)
ネットから抜け出した鏡花を襲ったのは、小型だが、殺傷力の低さを数で補うタイプの連続ベアトラップ。
いずれも獲物を捕らえるためのものであって、すぐに止めを刺す類の罠ではない。

「おいおい、だめじゃないかアトラ……王様から合図があったんだから、早く止めを刺さないと」
「いやー。そうしたいのは山々だけど、罠パワーが残り少なくて、殺傷力のある罠が使えなくてさー」
「そうか……僕も穴フォースがあまり残ってないからなぁ。今開けられる穴だと……」

(パン!………パン!!パン!!)
「っぐあ!!……あぎ!……ぐうぅっ……!!」
「……この小型拳銃の弾が、ギリギリ通るくらいかなぁ……くっくっく」
シアナとアトラは、苦悶する鏡花の姿をニヤニヤと笑いながら見下ろしていた。
二人が特殊能力用の魔力的なやつを消耗しているのは嘘ではなかったが、
自分達を追い詰めた鏡花に少々意趣返しをしたい、というのが主のようだ。

「にしても鏡花ちゃんもひでーよな。
洞窟の中だってのに、派手に攻撃魔法ぶちかましちゃって……洞窟が崩れたらどうするんd」
(ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ………)
「なっ!?………やばい、本当に崩れるぞっ!!」

だが、その時。
先程の鏡花の攻撃魔法の影響かは不明だが、
洞窟全体が大きく振動し、シアナとアトラの頭上から大きな岩が崩れ落ちてきた!

「「うわあああああああっ!!」」
「っぐ……あぶ、ないっ………!!」

力を失った二人の少年に、為す術はない。だが、二人が固い大岩に圧し潰されることは無かった。
何故なら………

「きょ……鏡花……ちゃん……」
「なんで……なんで僕達を助けたんだ……!?」
「ふ、ふふ……だって……私、魔法少女、だから………」
………傷だらけの鏡花が、二人の頭上に魔法のシールドを展開していたからだ。

「バカげてる……そんな事をしたって、僕らは改心なんてしない。絶対に……!」
「そうだそうだ!俺らを生かしたりなんかしら、またどっかで別の女の子を捕まえてリョナってやるんだからな!」

「バカ……そうかもしれないけど、でも……やっぱり、放っておけない……
それより、長くはもたない……早く、逃げ……て……」
ビシッ………ベキッ!ドゴッ!!

「鏡花ちゃんっ……俺……」
「………アトラ、来いっ!!」
鏡花のシールドに亀裂が走ったのを見たシアナは、アトラの手を引いて無我夢中で駆け出した。

  • 最終更新:2019-03-09 11:02:12

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