24.35.ササメ

258: 名無しさん :2018/10/07(日) 01:36:10 ID:???
「う、んんぅ……私、一体……」

「あ、ササメちゃん起きたぜ!」
「最近涼しくなったと思ったら今日はクソ暑かったし、ササメちゃんの氷で冷やしてもらうか!」
「ほんと、10月にもなって暑すぎなんだよ……」


ササメが目を覚ますと、そこは人気のない路地裏だった。自分の正面では、少年2人と男性1人がニタニタしながらこちらを見ていた。

「……!それは、『砕氷星鎖』……!」

赤毛の男性が自らの大切な武器を持っていることに気づいたササメは、瞬時に警戒態勢に入る。

「おっと、そんなに警戒するなよ」
「そう!なんせ俺様がこの『砕氷星鎖』を巧みに扱い、ササメちゃんの魔法の氷を壊してあげたんだからな!すこーしも寒くn」
「アホベルト!その歌詞は危ないから止せ!」

「な、ハッタリは止めてください!その『砕氷星鎖』は、雪人とのハーフである私でさえ長年血の滲むような修練をしなければ扱えない代物なのですよ!返してください!」

アホなやり取りをするアイベルトたちを見て馬鹿にされていると感じたササメは、彼らをただのイタズラ好きの一団と認識した。『砕氷星鎖』は玩具にするには危険すぎる一品だ。返して貰おうとササメが彼らに詰め寄った瞬間!

「慌てんな、よっと!」
「な、きゃあああ!?」

アイベルトは『砕氷星鎖』を繰り出した。その長い鎖はまるで意志を持つかのように動き、ササメをガッチリと拘束する!

「ひゅー!オッパイ強調するように縛るなんて、お客さん通だねー!」
「だろだろぉ?イイ感じだろぉ?」

(ま、まさか本当に使いこなすなんて、一体何者なの……!?い、一旦逃げなきゃ!)

上半身は気をつけの姿勢で縛られているが、逆に言えば足は無事だ。人通りの多い場所まで逃げようとしたササメだが……

「まったく……遊んでないで、逃げないように気を付けろよ」

「あぅ!?」

突然足元に出現した落とし穴により、ササメは躓いて転んでしまう。

(き、急に落とし穴が……!?この三人、一体何なの!?)

「おーわりーわりー、んじゃま、足を封じとくか!」

全然悪いと思っていなさそうなアトラが、掌をササメに向ける。すると突如ベアトラップが二つ現れ、ササメの両足を挟み込む!

「ぐぅうがぁああ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛!!!??」

「ナイスだぜアトラ!動けなくなった所を……必殺技でトドメだ!」

動きを封じられたササメに、アイベルトはもう一本の鎖を打ち込んだ!

「ひぅ!?や、やめ……おっごぉお!?」

鎖の先端には棘付の金属球がついており、氷どころか岩をも砕き、鋼板すら撃ち抜く威力を持っている!
そんな『砕氷星鎖』が腹部にメリメリとめり込み、ササメは濁った悲鳴をあげる。

「いいなー、俺もその鎖使いてー!」
「僕らはあんな特殊な武器使いこなせないだろ、今はそれよりも」
「思う存分、ササメちゃんをリョナるとしようぜ!」

260: 名無しさん :2018/10/07(日) 22:45:54 ID:???
「ぐうっ!ごふっ!がはぁっ!!!」
「どうだ!今の!」
「頰殴り、腹パンチ、膝蹴りの3コンボか。なかなか悲鳴の質も良かった。8点。」
「俺様は5点だな。良くも悪くも光るものがない。個人的にはエロに特化させて途中に乳鷲掴みを入れていれば高得点だった。」
「アイベルトお前、ソフトエリョナ好きが透けてんぞ!個人の感想じゃなくてリョナの質として点をつけろよな!」
「うるっせ!ササメちゃんは20だぞ!20の女の子のこのハリのあるおっぱいを虐めないなんて、そんなの認めないやい!おっぱいおっぱぁーい!」
「おい下の欲望が隠しきれてないぞ24歳。レイプしたいなら後で勝手にすればいいけど、これはリョナを審査するゲームってことを忘れるなよ。」

人気のない裏路地で、アトラたちはリョナリアクション採点ゲームを行なっていた。
10点満点で、他の人がリョナった方法を女の子のリアクションや悲鳴の質で採点する。
それを順番に繰り返し、一番高い点数を取った者の勝ちだ。無論個人のさじ加減もあるので、これはいいリョナだと思ったら必ず素直に高得点をつけなければならない。
勝ちたいからといって相手に低い点数をつけるのは論外だ。
これはお互いの信頼関係があってこそ成立する、友情を確かめ合うゲームでもある。

「うぅ……お願い……!もうやめてえぇ……!」
「次は僕の番だ。アイベルトのリクエストに応えて、そのエロい水着からはみ出てる柔らかそうな胸肉をたっぷりと虐めてやるよ。」
「そ、そんなっ……!」
「まってました!よっシアナ社長!もうどんどんこの女のハミ乳を虐めちゃってください!飽きたらその意味あるんだか意味ないんだかわかんない水着も取り去っちゃっていいんで!」
「それにしても、色白で青い目だとマイスイートハニーのリザを思い出すなぁ。あーーリザが成長して20くらいになった頃が本当に楽しみだぜ。それだけを楽しみに俺はこの腐った世界を這いずり回りながらも必死に生きているんだ。」
「い、いやあぁ!誰か助けてええぇ!」

裏路地にササメの恐怖に染まった悲鳴が響き渡ったその時だった!

「そこまでd」
「さっきからピーチクパーチクワンワンニャンニャンとうるっっっさいですわね!!!隣の洋服屋で静かに買い物もできませんわよ!青姦したいならどっか人気のない公園の公衆便所で盛りなさい!または森の中で野獣のように泥まみれになりながら祖先の種付けに神秘的な思いを馳せるといいですわ!」

声のした方に顔を向けると、ピンク色のツインテールをななめ45度の角度に立てて怒り顔をしているお嬢様口調の幼女がいた。
(な、なにあの子!?出て行こうとしたのに被っちゃったからまた隠れちゃったよ~!)
ヤヨイは混乱しながらも、もしかするとあのピンク色の女の子も自分と同じように止めに来たのかと思い、成り行きを見守ることにした──

261: 名無しさん :2018/10/08(月) 01:35:52 ID:???
「んもう!リザちゃんは今頃は三千里どころじゃない苦難の上、母と娘の感動の再会を果たしているでしょうし、エミリアちゃんは『私、2人を止めなきゃ……!』とか言ってどっか行っちゃいますし……!アイナが一人寂しくショッピングしていましたら、男衆の楽しそうな声が聞こえてきますし……!なんて日だ!ですわ!」

「ようするに、一人で寂しかったってことか……」
「たく、おいシアナ、お前相手してやれよ」
「な、なんで僕が……というかアイナ!今はここらで騒ぎを起こすように命令されてるだろ!なにショッピングしてるんだよ!」

「うっせぶっ殺すぞ(アイ◯ンティティ田島っぽく)ですわ!アイナはリザちゃんが今親子感動の再会をしていると思うと嬉しくて嬉しくて、とても仕事どころじゃないんですわ!」

(な、なんかよく分からないけど、話を聞く限り、あの女の子のあの人たちと知りあいなのかな……?というかあの子今リザって言った?)

隠れているヤヨイは会話を盗み聞いたが、いまいち彼らの関係が見えて来ない。
そうこうしているうちに……

「ほらシアナ!アイナとどっか遊びに行って来いよ!リザも今忙しいみたいだし、俺らもやることあるから丁度いいだろ!」
「ちくしょう……俺にも天の意思がカプ厨発症してくれたら、カワイ子ちゃんの彼女ができるのに……!」

「な、なんだよもう……厄介なのの相手を押し付けてないか?」
「でもシアナはそう言いつつ、我の強いアイナやアトラみたいなのに振り回されるのがお好きなのでしょう!?そう、言うなればシアナは受け!クッ◯姫みたいにTSしたら意外とストレートに似合うタイプですわ!」
「ああもう今日はいつにも増して絶好調だな!あんまり表で騒ぐなよ、見られるから」
「シアナシアナー、俺らは注目集めるのが任務だぜー?」
「そうそう、恥ずかしがってんじゃねぇよ羨ましいーー!」
「はぁ……とにかく、一ヶ所に4人も集まってたら任務上非効率だ。さっさと分散するぞ!」

青髪の少年とピンクツインテ少女はどこか別の所へ移動し、赤髪の青年と少年はこの場に残ることになったらしい。

(な、なんか今のやり取り見た感じ、普通の人たちみたいだったけど……)

状況が掴めないままだが、とりあえず覗きを続けることにしたヤヨイ。

「どうするアイベルト?シアナの奴いなくなっちまったけど」
「2人じゃゲームも続けられないしなぁ」
「う、うぅ、もう許してぇ……」

お開きになりそうな空気を察したササメは許しを乞うたが、それは却ってリョナラーの血を騒がせることを彼女は知らなかった。

「ゲーム制は止めにして普通にリョナろうぜ!おっぱいとかおっぱいとかを!」
「いいねぇ、そうするか!おっぱいは2つ、俺らは2人、丁度いいな!」
「ひ……!?いやぁあああ……」

「ってちょっと待ちなさいよ!!」

普通に辱めを続けようとした赤髪コンビを見て、ヤヨイは今度こそ飛び出した!

262: 名無しさん :2018/10/08(月) 02:27:28 ID:???
「こらー!ササメ先輩を離しt」
「あーーー!赤髪コンビ!アイナは今からちょっとだけここの店でショッピングしますから、その胸肉を料理するなら別の調理場でお願いしますわ!」
「あーはいはいわかったよ。んじゃ移動するか。」
「おっそうだな。2人のらぶらぶショッピングデートを邪魔しちゃ悪いもんな。」

「あ……あれ……あれれぇ……?」
勇ましく登場したというのに、誰もヤヨイの方を見ていなかった。
それどころか、少しピンク髪の少女の方へ目を離しただけなのに、ササメの姿が見つからない。
「んお?どうしたお嬢ちゃん。……まさか俺様に逆ナン!?」
「うぇ、まじかよ。ミツルギの女は股が緩いって聞いたけど頭も緩いんだな。」
「ち、ちょっと!勝手に人のことをナンパ師や頭の弱い子扱いしないで!」
「あっいいねえいいツッコミだ。ちょうど俺らの職場ツッコミが不足しててさ、君みたいな可愛い女の子が来てくれると助かるんだよね。給料は保証するから、よかったらトーメント城に来てよ。シリウスって名前出せばいつでも働けるようにしてやるからさ。」
「は、はぁ……?」
少年の方はそう言うと、狭い路地をスタスタと出ていった。

「俺様に惚れたんなら尚更だぜ!ペテルギウスの名前を出せば君を俺様専属のマネージャーにしてやる!そうなれば待遇は保証するぜ!毎晩特上寿司でもA5のヒレ肉でもなんでも奢ってやるからな!」
「え、それほんとですか?」
特上寿司とA5の肉と聞いて、ついヤヨイはつい頭の緩そうな喋り方をする男の話に乗っかってしまった。
「本当さ!俺様くらいの金持ちになるとトイレのケツ拭きも万札でやるからな!もう金がありすぎて困ってるんだよ!」
「いや、それについてはドン引きですけど。……ってそうじゃなくて!ササメ先輩は!?」
脱線した話を元に戻すと、男ははて?と言う顔をした。

「そんな子ここにはいないぞ。なんか見間違えたんじゃないか?」
「そ、そんなわけありません!あなた達がササメ先輩を拘束していたのを、私見ました!」
「なーにいってんだよ。ツッコミスキルがあってもヤバい薬で幻覚が見えてるんじゃダメだな。ほらアイベルト、ここで騒ぐとアイナたちに悪いから、さっさと場所変えようぜ。」
「いいかセーラー服の少女よ!トーメント城でべテルギウスの名前を出すんだぞ!そうすれば君の人生は大成功間違いなしだ!他でもないこの俺様が言うんだから信じるがいい!ではまたどこかで必ず会おう!」
「え、ちょ、待って!!待ちなさーーーい!!!」
ヤヨイの静止を聞き入れるわけもなく、赤い髪の少年と青年は小走りでその場を離れていった。

「一体どういうこと……?ササメ先輩はどこにいったの……?」
そのころササメは謎の真っ暗な空間でわけもわからず途方に暮れていたのだが、ヤヨイがその空間にたどり着けるはずもなかった。

281: 名無しさん :2018/10/19(金) 18:53:23 ID:???
「さて、もう十分離れた……ササメちゃんリョナ再開じゃあぁあ!!」
「待ってました!さっさとやろうぜ!」
「え、い、一体……がはぁああ!?」


ダークストレージから解放されたササメは、目まぐるしく変わる状況に目を白黒させ……次の瞬間、アイベルトに腹パンされて、一瞬白目を剥いた。


「いきなり腹パンかよ!絶好調だな!」
「いや、今のは違うな……白目を剥くんじゃなくて、痛そうな顔してくれるだけでいいんだけど……」
「ハードなのが苦手なのは分かるけどさ、文章だと多少グロくてもあんま気になんないし大丈夫じゃね?」
「だぁあ駄目だ駄目だ!ハードなのは無理!セクハラは出来てもレ◯プは無理!」
「相変わらずだなぁ」

こうやって馬鹿な話をしているのと同時に、蹲って苦痛に顔を歪めているササメを無理矢理引き起こす。

「う、ぅう、もう、止めてぇ……」
「うーん、可哀想な出生の健気な女の子って、なんでこんなに虐めたくなるんだろうな」
「倍プッシュだよ倍プッシュ!もっと不幸にしたくなるって感じ!」
「まぁそんなことはどうでもいい……せっかく人気のない所に来たんだから、好き勝手やろうぜ!」

そう言うとアイベルトは、先ほどダークストレージの中で見つけた賞味期限切れのコンビニ弁当(のり弁)を取り出すと……

「はいどーん!」

地面に思いっきりぶちまけた。

「な、何をなさっているんです……?」
「ははぁ、読めたぜアイベルト……つまり、こういうことだな!」

いつの間にかササメの後ろに回り込んでいたアトラが、彼女を地面に引き倒し、その儚い美貌を地面に散らばった汚いのり弁に叩き付けた!

「ぅ、ぶ……!や、ぁあ……!きたな、い……」
「ぎゃははは!おら、食え食え!」
「なぁアトラ、ここは俺らでオ〇ニーしてさ、一種の食ザーをさせてみたいんだが……」
「アイベルト……そういう系のエロ漫画でも読んだのか?まぁいいけどさ」
「ササメちゃんには食ザーしたら王様にお母さんを助けて貰えるよう頼んでやるとか言ってさ!やりたくないのにお母さんにの為に目に涙を貯めながら必死に汚いものを食べるとか……良くない?」
「良い……」

そんなこんなで、赤髪コンビが無理矢理汚いものを食べさせる系精神リョナをやろうとした時……!

「そこまでだ!」

いよいよ赤髪コンビが本格的にセクハラ全開行為に及ぼうとした時……!どこからか制止の声がかかる!

「だ、誰だお前は!?」
「そういう時はラジカセでヒーロー登場BGM流せよ!」

アホコンビの暴挙を止めに入ったのは、登場フラグから27レス経ってようやく現れた……酔剣のラガールであった!

283: 名無しさん :2018/10/20(土) 18:27:22 ID:???
「女人に暴行を加えた上に鎖で縛ったうえ、無理やり水着まで着せるとは……許せん外道どもだ。刺身にしてくれる」
「いや、水着は元から着てたんだけど」
久々登場のラガールだが、久々すぎて微妙に会話がかみ合ってなかった。
対するアトラとアイベルトは……

「おいアイベルト!そんな事より、あいつメッチャ強いぞ!とても俺なんかが敵う相手じゃないぜ!」
「え?まあ確かに強そうだけど、そのセリフを敵わない側のポジが言うのってどうなの」
「だから、あのおっさんの相手はお前に任せた!その間に俺がササメちゃんに食ザーさせてやる!」
「あー!?てめアトラ!勝手に決めてんじゃねーよ!
ササメちゃんに『こ……これをしゃぶれば本当に、私の頼みを聞いてくれるんですね……?』
って泣きながらフェラしてもらうのは俺だっての!!」
割とガチ目な仲間割れをしていた。

「……ササメ殿は今のうちに逃げろ」
「……そうさせて頂きます」

「ちょっと年上だからっていい気になってんじゃねーぞ!精神年齢シアナの半分くらいのくせに!」
「てめえ~~!言っちゃならねえ事を言ったな!こうなったら俺の古代魔法結界でボコボコにしてやる!
くらえ……『ボコスカ・スモーク!!』」
(ボワワワワ……)
「うおっ!?何だこの煙!」
……というわけで、アイベルトは何やら怪しげな魔法結界を発動した。
一見煙のような結界に入った者は、一切の武器や魔法、特殊能力を使えない。
互いに徒手空拳で戦う、純粋な力勝負となる。

「それ完全に俺に不利じゃねーか!ほんっと大人げねーな!
でも能力封じるとかけっこうリョナ向きじゃね?……なんで今まで使わなかったんだ?」
「俺もそう思って覚えたんだけど、使ってみるとなんか微妙だったんだよ…!」

「おい貴様ら……仲間割れしたからと言って、見逃すと思ったら大間違いだぞ」
「げ!おっさんが来た!」
「えーい、邪増すんじゃねえ!こうなりゃお前からぶんなぐってやる!」

(ボカスカボカスカ……)
傍から見るとこのように、煙の中でボカスカしてるようにしか見えないのがリョナ的な意味での欠点であった。

ちなみに古代魔法というと下手するとヒールより多用されてそうな「かくかくしかじか」が思い浮かぶが、
その他にも、足が渦巻き状になってすごく速く走れるやつとか、頭上で電球がピコーンと光って何か閃くやつとか、
「もう○○はこりごりだよー!」って言うと顔の周りだけ残して周りが真っ暗になるやつとか、ズコーッ!とか、
そういうのが色々あるらしい。

「ええい、待たんか!!」
「待てと言われて待つバカいるかー!(グルグルグル)」
「(ピコーン!)あ、じゃあさ。曲がり角曲がると誰かとぶつかってキスしちゃうやつとかないの?」
「あるにはあったが、女の子が使う用の魔法でな。ぶつかってくる相手は男だけなんだ」
「ズコーッ!」
「何をごちゃごちゃ話している!さっきから怪しい術など使いおって、ギッタギタにしてやるぞ!」
「「ひえーっ!もう古代魔法はこりごりだよー!」」

………………

一方。野郎三人がボカスカやってる間に窮地を脱したササメは、自室に戻り、怪我の手当てをしていた。
「痛……!!……私も、まだまだですね。闘技大会に勝ち上がって、魔の森に入ることを認めてもらう筈だったのに。
魔物に敗れ、守るべき人々に……子供にまで」
砕氷星鎖も、氷の能力も元に戻っている。だが、討魔忍に化けていた魔物や、怪しい三人組に徹底的に痛めつけられた事で、ササメの心は身体以上に疲弊しきっていた。
そんな時……

「討魔忍衆全員に緊急連絡!例のアウィナイトが街を出て、魔の森に向かったで!
街で起きてる騒ぎは陽動や!動ける者は直ちに追跡!魔の森に入る前に止めるんや!!」
「この声は、コトネ様……!?」

情報によれば、闘技大会に優勝したアウィナイトの少女はトーメント王国のスパイだったらしい。
討魔忍五人衆のコトネ曰く、敵の目的、およびその正体は『不明』。
だが逃走経路から見て、魔の森を目指している事は間違いない……

「そうでしたね……私は、魔を討つ忍び。……落ち込んでいる暇なんて、ない」
ササメの身体を青白い冷気が包み込み、彼女本来の忍び装束へと変わっていく。
闘技大会を制し、魔の森を目指しているという『敵』を追うため、ササメは砕氷星鎖を手に部屋を飛び出した。

  • 最終更新:2018-10-21 17:22:05

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