15.12.幕間2・ワルトゥ

336: 名無しさん :2017/05/07(日) 15:25:42 ID:???
…一方その頃、ワルトゥはアルガスの機械兵たちを相手に暴れ回っていた。

「追えっ!改良ジト目貧乳殺戮機械兵『エミリー2.0』!」
「行けっ!重装型メガネ貧乳砲撃機械兵『サフィーネ参式』!」
「奴を逃がすな!!高起動貧乳格闘機械兵『ルビエラMk-IV』!」
「くっくっく…アルガスの科学力の粋を集めた機兵部隊『地獄の絶壁』の恐ろしさを思い知るがいい!」
「絶壁しかいねえのかよここのロボ兵士は!…面倒くせえ。さっさと片付けて、別の街にでもトンズラするかな…」

ワルトゥは接近してきた赤髪の少女兵の拳を余裕で受け止め、そのまま力任せに握り潰す。
「っぐあああっ!!?…あ、アタイの拳が…!!」「ルビエラっ!」「ルビエラちゃん!!」

…アリサ達四人と戦い圧倒的な強さを見せつけたものの、最後はいとも簡単に引き下がったワルトゥ。
それはあのまま戦い続けて、昂ぶりすぎた闘争本能によって彼女たちを『壊してしまう』のは勿体無いと感じたからだ。
あのまま順調に育っていけば、カラダも…そして強さも、最高の逸品が出来上がる事だろう…命があれば、であるが。

そして、中途半端に昂ぶった闘争本能、破壊衝動を、追撃してきた『地獄の絶壁』で鎮めようとしていた。
…彼女たちにとっては災難としか言いようがないが…

「…え?しかもこの赤いちっこいのが格闘型なの?…やっぱ、こないだの『スピカ』みたいな奴は中々いないもんだな。
せめて、さっきの金髪ねえちゃんくらいおっぱいがあれば楽しめたんだけどなー」
「ちっ…なめるなぁ!バーニング・ニールキック!!」
「お前、殺す…エメラルドブレード!!」
「行きますっ…ブルー・ガンビット!!」

「おおっ!!『地獄の絶壁』の完璧な連携攻撃!!」
かたずをのんで見守っていた科学者や警備員たちは、一斉に声を上げてしまう。
「「「やったか!?」」」

…だが次の瞬間。分身したワルトゥが、ルビエラの脚をへし折り、
エミリーのブレードを持つ腕を握りつぶし、サフィーネの放ったガンビットを残らず叩き落していた。

「バカな…信じられん!何者なんだアイツは!」
「マルシェザール所長とはまだ連絡が取れんのか!?」
「大変です!!第一拷問室に捕らえていた女スパイが逃げ出しました!!」
「そういえば、証拠になりそうな携帯電話を見つけたと言っていた…アイツ、どこいった!?」
「…あの男の仲間か!ええい、奴ら一体…どこのスパイなんだ!」

…研究所は混迷を極めていた。マルシェザール所長も、携帯電話を見つけた兵士も、既に始末されている。
捕らえた女スパイは今まさに、仲間に救出され外へ脱出する所であった。
その姿は、研究所内のモニタ画面の隅に辛うじて映し出されていたが…
混乱する兵士や科学者達がその姿に気付く頃には、彼女達はテレポートで姿を消しているだろう。
リザ達の脱出計画は完璧に遂行され、どこの誰の仕業による物か、気付く者は誰もいない…はずだった。

「…あれ?……あんな所に『スピカ』がいるじゃん」
たまたま、偶然、リザにとって運の悪い事に…
ワルトゥが、近くにあった警備用モニタ画面に映し出されていたリザ達の姿を、見つけてしまった。

「な、なにっ!?『スピカ』だと!?」
「…ああ、知ってんだろ?トーメント王国『王下十輝星』ってやつ。ていうか、俺も元スピカなんだけどな…」

「「「なっ……なんだとぉおおおお!!」」」

驚愕する警備兵、研究者たち。
「研究都市アルガスがトーメント王国『王下十輝星』スピカに襲撃された」
という衝撃のニュースは、すぐさまナルビア本国へと伝えられた。
この一件によってナルビアとトーメントの緊張は一気に高まり、両国のみならず
周辺国家であるシーヴァリア、ミツルギ、そして魔法王国ルミナス…様々な人々の運命を変えていく事になる。


…そんな歴史の引き金を、歴史の舞台から消え去ったはずの男が引いてしまった。

「ほれほれ、何を隠そう俺は腕だけ分身も出来るんだぜー。喰らえ!アルティメットア〇ュラバ〇ター!!」
「うああぁぁぁっ!!」「「エミリーーーッ!!」」

だが、当の本人にその自覚は全くなかった。

  • 最終更新:2018-01-28 12:05:33

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