15.02.彩芽とアリサ1

254: 名無しさん :2017/04/09(日) 13:40:11 ID:???
唯と瑠奈が箒に跨っているころ、彩芽、アリサ、桜子、サラ、スバルの5人はアルガス入り口に到着していた。

ルミナスと同盟を結ぶナルビア王国の重要拠点の1つ、研究開発都市アルガス。
トーメント王国に近い研究開発都市ということで、街は大きな壁に囲まれており、大きな軍事拠点も併設されている。
つまりは研究者と軍人が多く住む、物々しい街ということである。

「現在、ルミナス王国の攻勢もあり警備を増強中です。失礼ですが、あなたたちは?」
「異世界人を集めていると聞いてここにやってきたのだけれど、入れるかしら?」
「あなた方、全員が異世界人ですか?」
「あ、私は……」
異世界人ではありません、と言おうとしたスバルの口を彩芽が塞いだ。
「どうされました?」
「なんでもないわ。私たち全員異世界人よ?通してもらえないかしら?」
「……少々お待ちください。」

衛兵は少し離れたところで通信を初め、2分ほど経つと戻ってきた。
「お待たせいたしました。お通しいたします。中に案内の者がいますので、そちらの指示に従ってください。」
「ちょっと待って。どこに案内するつもり?私たちはこの世界から出る方法を探しているの。その情報さえ教えてくれれば、用はないのだけれど。」
(さ、サラさん、ズバズバいくなぁ…。)
彩芽含め少し焦ったが、衛兵の口から飛び出したのは衝撃の一言だった。



「ええ。貴方方を元の世界にお返しします。」

255: 名無しさん :2017/04/09(日) 14:30:30 ID:dauGKRa6
「異世界人の方々ですね。ご案内致します。こちらへ……」
重装備の衛兵に研究施設の内部へと案内された5人。施設内部の通路には人ではなくロボットがせわしなく動き回っている。
「わぁ、近未来的だなあ……」
「ここに来て正解だったわ。これでみんな帰れるわね。」
「あ、あぁ……だがサラ、なにか妙じゃないか?今とんでもないことに巻き込まれている気がしてならないんだが……」
「ボ、ボクも……でもここまできちゃったし、ここはトーメント王国じゃないし、きっと大丈夫だよね……?」
コソコソと声を出す桜子と彩芽。この世界で過ごした2人の経験が、今の状況に違和感を感じさせているのだ。
「わたくしも妙だと思うけれど……他に手がかりがないんですもの。今はとりあえずついて行きましょう。本当に帰してくれるのかもしれないですわ。」

「元の世界に返すと伝えると喜ばれる方が多いのですが……貴方方はやけに静かですね?」
「ひぃっ!?あ、いや、う、嬉しいですっ!ボクすごく嬉しいですっ!」
「わ、私も、う、嬉しいです……!」
突然衛兵に声をかけられ、テンパる彩芽と桜子。その様子にアリサはやれやれと息をついた。
「1つ聞いてもよろしくって?」
「なんでしょうか?」
「どんな方法で、わたくしたちを元の世界に返すんですの?方法によっては考えさせてもらわなければなりませんわ。」
「……何か疑っておられるようですが、私共はあなた方の武器を没収などしていません。信じてもらえないでしょうか……」
実際、見るからに物騒なアリサと桜子の剣でさえ、没収されていない。それで信じろということらしい。
「信じる信じないの前に、わたくしの質問に答えてくださらないかしら?」
「……異世界人の方々は知らないでしょうが、この世界にはウェイゲートという2つの世界を繋ぐ場所があるんです。私はそこへ貴方方を案内するだけ。ご心配なく。ゲートを潜る行為で体に異常は起こりませんから……!」
衛兵が意味ありげに言葉を発した瞬間、ガコンッ!と大きな音がして、前方と背後に突如大きな壁が現れた!

「うわっ!ビックリした!」
「なっ!?どういうことですのっ!?」
「噴射始めっ!」
衛兵が手を上げ叫ぶと、プシュー……という音と共に煙が発射された!
「まずいっ!あ、アリサッ!これをっ!」
彩芽がカバンから取り出したのは、アヤメカNo.25「ガスなんて怖くないもん」言わずもがな、ガスマスクである。
自分に素早く装着したあと、アリサへとガスマスクを投げる彩芽。
どうして他の3人に渡さないかというと……噴射口に近かった3人はすでに倒れていたのだ。
「ガスマスクだと!?ちょこざいなっ!」
「リヒトクーゲル!」
「ぐあああっ!」
アリサのリコルヌから発射された光の弾丸が、衛兵へと直撃した。
「さすがアリサ!でもどうしよう!?」
「さっき衛兵がそこのボタンを押していましたわ!早く押して!」
「り、了解!」
彩芽がボタンを押すと、前方と背後どちらの壁もせり上がる。
「イジョウジタイハッセイ!イジョウジタイハッセイ!」
「うわっ!やばい!」
安心する暇もなく、背後からは大量のロボットがこちらへと迫ってきていた!
「彩芽!私たちで3人を守りますわよ!」
「が、ガッテン承知!へなちょこロボットども、覚悟しろっ!」

259: 名無しさん :2017/04/09(日) 18:04:04 ID:???
「研究サンプルが暴走を始めました。現在、鎮圧中です。開発スタッフの皆さんは速やかに避難してください。」
サイレンの音と共に、落ち着いた女性の声でアナウンスが流れた。
「研究サンプルって……まさか、僕たちのこと!?」
「彩芽たちの嫌な予感が的中してしまいましたわね……!」
「きっとアレだよ。人体実験。生体兵器を作るためのサンプルとして戸籍のない異世界人を集めてるんだ!そうに違いないよ!」
「……彩芽のやってるゲームではそういうことが多いんでしょうけど……とりあえず、今は目の前の敵を倒しましょう!」
おしゃべりをしながらも、2人は的確に敵を排除していく。
ロボットの数は多いが動きは単調のため、2人にかかれば楽勝の相手だったのだが……

「2人だけだ!全員で捕らえろっ!」
背後から男たちの声が響く。2人が素早く振り返ると、重装備の男たちが群れをなしてこちらへなだれ込んできていた。
「や、やばいよアリサ……あんな数いたら無理だって……!」
「諦めないで!ここでわたくしたちが倒れたら、全員殺されるかもしれませんわ!」
「うぅ……山を越え洞窟を越えせっかくここまできたのに、どうしてこんな目にぃ……!」


「くそっ、しぶといやつらだ……!」
前方からのロボット、後方からの兵士の群れに、背中合わせで入れ替わりながら必死に戦うアリサと彩芽。
だが圧倒的な数の暴力に抗うことはできず、2人の息は次第に荒くなり始めていた。
「はぁ……はぁ……疲れた……もうだめだ……!」
「あ、彩芽!諦めないでっ!わたくしたちが倒れたら終わり……きゃああああぁッ!」
「えっ!?あ、アリサあぁっ!?」
彩芽が振り返ると、アリサはひときわ屈強な兵士に後ろから羽交い締めにされていた。

「さすが隊長!おい、1人捕まえたぞぉっ!」
「金髪美少女!!おとなしくしろ!!」
「は、離しなさいっ!汚い手でわたくしの体に触らないでっ!」
「おい、さっさと無力化しろ!」
男が指示を出すと、兵士の1人が素早くリコルヌを取り上げた後にアリサのガスマスクを外した。
「ぷはっ!」
「おーおー、マスクの中で汗が蒸れて匂いがすごいぞ。汚いのはそっちのほうなんじゃないか?クックック……」
「いやっ!か、顔を近づけないでっ……!」
「お前らには転がってる3人と同じく気絶してもらうぞ。やれっ!」
「はっ!」
隊長の指示に従い、兵士がホースのような噴射口をアリサに向けた。
「いやあああッ!やめてえぇっ!離してえぇっ!」
「安心しろ。殺しはしない。研究サンプルとして確保するだけだ。」
「や、やめろっ!アリサに変なことするなっ!」
「発射!!」
彩芽の訴えも虚しく、アリサに向けて先ほどと同じ睡眠ガスが噴射され、アリサは兵士の腕の中で気を失った。

(さ……最悪じゃないか!!!気絶させられて捕まるなんて……どう考えてもエロ同人の最初の5ページ目くらいの展開だよ!)
「おいメガネ!この金髪美少女に変なことされたくなかったら、ガスマスクを外して手を上げな!」
「くっそぉ……サラさんと桜子さんがいれば、こんな奴らやっつけられたのに……!」
「おい、早くしろっ!」
「わ、わかったよ……!外せばいいんだろっ!」
半ばヤケを起こしてガスマスクを外した瞬間、睡眠ガスを噴射され彩芽は意識を失った。

「隊長、この2人はもしかして……」
「あぁ。おそらく運命を変える異世界人だ……他の3人よりも厳重に隔離しろっ!」

261: 名無しさん :2017/04/09(日) 22:33:23 ID:???
「クソ!まさか、アルガスがこんな所だったとは!」
「桜子おねえちゃん……」
「落ち着いてサクラコ、スバルが怖がってるわ」
「あ、ああ、すまない……」
アルガスに到着した途端に襲われ、囚われた五人。桜子、サラ、スバルの三人は無機質な白い部屋に幽閉されており、彩芽とアリサはどうやら別の場所に閉じ込められているようだ。

「しかし、どうするか……最悪の場合は、スバルが異世界人ではないことを明かして、スバルだけでも……!」
「だから落ち着いてサクラコ。今から最悪の想定をするのは早すぎるわ」
幸い、というべきか、武器の類は没収されたものの、特に身体を拘束されているわけではない。脱走は決して不可能ではないはずだ。

「コンバットアーマーも没収されからクレラッパーにはなれないけど、アージェント・グランスのことまでは想定外のはずよ。外に出さえすれば、バイクで逃げられるわ……五人乗りはちょっと危ないかもしれないけど」
「……なぁ、前から気になってたんだが、あのバイクって一体どういう原理なんだ……?毎回、サラが呼べばどこからともなく現れるが……」
「まぁ、それは話せば長くなるんだけど……ってスバル?どうかしたのかしら?」
「スバルなら、あそこから抜け出せそうだよ。外からこの部屋の鍵を開けられるかもしれない」
スバルが指差した先は通気口。確かに、スバルの背丈ならあそこから脱出できるかもしれない。

「よし、そうと決まれば善は急げだ……スバル、私が持ち上げるから、あそこに入ってみてくれ」
「うん」
桜子がスバルを持ち上げる。そして、スバルは通気口を押し開けようとするが……

「ダメ!ここも外から鍵がかかってるみたい!」
「クソ、やはりダメか……」
「仕方ないわ、しばらく様子を見るしかないわね。……こういう時刑事ドラマなんかでは、鍵を持った看守がノコノコ来て鍵を奪われるのがお約束だけど……そう上手くはいかないわよね」
「彩芽……アリサ……無事でいてくれよ……!」

263: 名無しさん :2017/04/11(火) 01:07:09 ID:???
「う……うぅん……」
「あ、アリサ……気がついた?」
「彩芽……?ここは……ひゃあっ!?」
目を覚ましたアリサの視線の先……そこには透明なガラス張りの壁とその向こうにいる大勢の研究者たちだった。
「気持ち悪いだろ?まるで動物園の檻の中だ。あいつらずっとボクらをジロジロ見ながらなんか相談してるんだよ……」
「……悪趣味ですわ。わたくしたちを捕まえて何をするつもりですの……?」
ガラスの向こうではアリサが目を覚ましたことに気づいた研究者が、他の研究者に報告をしている様子が窺える。
報告を受けた研究者はマイクが置かれたテーブルに近づき、スイッチを入れた。

「やあ、彩芽さんとアリサさんといったかな。私はこの研究所署長のマルシェザール。以後お見知り置きを。」
丁寧な口調で挨拶をしたのは、50代ほどの男性研究者だった。
「ぼ、ボクたちの声は聞こえるのか?」
「聞こえているとも。だが質問は後だ。まずは私の話を聞いてもらおう……」

「ルミナスと同盟を結ぶナルビア王国、その重要拠点がこのアルガスだ。近年私たちは異世界人の不思議な力について研究を重ね、ついに特殊な能力を持つ異世界人の特定に成功した。」
「と、特殊な能力を持つ異世界人……?」
「そう。私たちが独自に開発した人体スキャナー機能を用いて、異世界人の体内に極稀に特殊な体内磁石が存在することがわかった。……その体内磁石を有しているのが、君たちというわけだ。」
「わ、わたくしたちの中に特殊な体内磁石……?」
「私たちは君達のような特殊な異世界人を、ディスティンクティブヒューマン……略してDTTと呼んでいる。」
「は、はぁ……」
言葉に詰まるアリサと彩芽。いくら威厳のありそうな研究者の言葉といえど、唐突に自分たちが特殊能力者と言われても理解が追いつかないのだ。

「ま、とはいってもその特殊能力がなんなのか、ということについて説明しなければならないな。」
「そ、そうだよ。まずそれを教えてよ!」
「それはだな……すまないが、まだはっきりとはわかっていないのだ。」
「は……?」
「強いて言うなら、運命を変える力……とでも表現は可能だ。つまり、君達は人間が抗うことのできない運命を味方につけている。」
「さ、さっぱり意味がわかりませんわ!どういうことですの!?」
「さっきも見ただろう?偶然にも君達だけが噴射口から離れた場所にいて即気絶を免れ、偶然にも彩芽さんがガスマスクを装備していた……つまりはそういうことだ。」
「……つまり……ボクたちに備わった特殊能力っていうのは、ものすごく運がいいってことなのか?」
「イクザクトゥリィ!その通りだ。……そして君たちDTTの力を、今から私たちの目の前で見せてもらいたいという訳さ……!」

264: 名無しさん :2017/04/11(火) 01:48:26 ID:???
パチンッ!とマルシェザールが指を鳴らすと、近くの床が開き床下からテーブルが現れた。
「こ、これはリコルヌですわ!」
「こっちはボクのアヤメカセットが入ったカバンだ!」
テーブルの上には没収されていたアリサと彩芽の装備が全て乗せられていた。
「さすがに丸腰では可哀想だからな。武器はそれでいいだろう。」
「……つまり、ここでわたくしたちを何かと戦わせるということですわね?」
「アリサさん、君は美しいだけでなく頭も回るんだな。その通りだよ。」
「ふ、ふざけるなっ!ボクたちをお前らの見世物にする気かよ!」
「見世物とは心外だな。これは立派な実験だよ。君達DTTを研究してクローン兵士を作れば、トーメント王国に対する切り札になるはずだからね。」
「な、ならわたくしたちを戦わせるのはお門違いですわ!もしわたくしたちが死んでしまったらクローン研究などできないはず!」
「フン……今から出てくる魔物たちに勝てないようでは、DTTとは言えないよ。私たちの勘違いだったということだ。」
「なんだよそれッ……!そのDTTってのじゃないんなら、僕たちに死ねってことかよ……!」
「……質問は異常かね?では早速始めよう。おい、実験開始だ!」
マルシェザールが指示を出すと彩芽たちのいる部屋の壁が素早く開いた。

「う、うわあっ!でかっ!」
壁の中からアリサと彩芽の前に現れたのは、超巨大軟体動物である。
「さあ、まずはジャイアントサンドワームだ。砂漠地帯に生息しているものを私たちが捕獲し強化させた改良種となっている。」
アリサと彩芽を視界に捉えたワームは、むき出しの牙をカチカチと鳴らしておびただしい量の唾液をボトボトと地面に落とした。
「唾液にも気をつけたまえ。うっかり体につけてしまうと、ランダムな状態異常効果を引き起こしてしまうからな。」
「こ、これを僕たちだけで倒せっていうのか……?冗談キツすぎだよ……!」
「ゼルタ産地でサンドワームとは戦ったことがありますけれど……その時のワームよりも遥かに大きくて太いですわ……!」
「ん?アリサさん。今のセリフをもう一度言ってくれたまえ。」
「え?……その時のワームよりも」
「律儀に言わなくていいよ!ただのスケベオヤジだよあいつッ!!」

「キシャアアアアアアっ!!!」
彩芽のツッコミに合わせて、ワームは威嚇のような声を出し大きな尻尾を振り回した!
「彩芽ッ!やるしかありませんわっ!」
「くっそおお!どうしてボクたちがこんな目にいぃっ!!」

265: 名無しさん :2017/04/12(水) 00:10:02 ID:???
「グオオオオォン…!!」

「いくら体が大きくても…そんなスローな攻撃にやられるわたくしではありませんわ!…たあああっ!」
ジャイアントワームの攻撃を難なくかわし、反撃を仕掛けようとするアリサ。

「うわああああ!!……ぜーっ…はーっ……ひ、久しぶりに走ったから腰が…」
…そして、ダッシュで逃げ惑う彩芽。

「…まあ、貴女に前衛は期待してませんわ。後ろから援護を頼みますわよ!」
「ですよねー…えーと、何か役立ちそうなものは、と……」

アリサはレイピアを抜き放ち、ワームの注意を引き付けるべく、前に出る。
そして圧倒的なスピードで巨大な敵を翻弄するが…科学者たちはその様子をあらゆる角度から観察、分析していた。

「あの剣は名門アングレーム家に伝わる宝剣『リコルヌ』…柄の装飾に一角獣が象られている事からわかる通り、
使用者の『ある特性』に反応して魔力が発動し、威力や攻撃速度などを飛躍的に向上させるようです。」
「…『ある特性』?」
「マルシェザール所長!あの被験体が着ている白い服ですが…あれはルミナスの上級魔装『ローブ・ド・ブラン』。
やはり装着者の『ある特性』に反応して、身体能力や防御力が飛躍的に高める効果があります」

「さっきから何だね、その『ある特性』と言うのは…」
「それが……ゴニョゴニョゴニョ」
「なるほど、しょj……ぷっ……いや、失礼。だがそうなると、あのワームとは少々相性が悪いようだな。君はどう思う?」
「これの男性版があったらめっちゃ嫌ですね」
「そwwwれwwwはwwwはずいwww」

「シュヴェーアトリヒト・エアースト!!」
アリサは大きく跳躍してワームに接近し、その喉元を必殺の斬撃で深々と切り裂いた。
…使用者の『処女性』により力を発揮する、という装備の特性が科学者たちに爆笑されているとは夢にも思わずに。

「グォォォォ!!」
びちゃびちゃびちゃっ!!
「…きゃああぁっ!?」

…だが攻撃した瞬間、傷口からワームの血…なのかどうなのか、正体不明な粘つく体液が飛び散った。
避けようのない空中で、まともに粘液を浴びてしまったアリサは、バランスを崩しながらも何とか着地に成功する。

「な、何ですのこれ!?…もう、最悪ですわ…!!」
「亜理紗、下がってっ!……これならどうだ!!…No.64、殺虫カンシャク玉!!」

「……グオォォォオオン……!!」
アリサの剣も、彩芽の投げつけたカンシャク玉も、ある程度の効果はあるものの、巨大な敵に致命傷を与えるには至らなかった。
そして…

「くっそー…亜理紗、今度は二人同時攻撃だ!……亜理紗…?」
「はぁっ……はぁっ……っ……(…おかしい……ですわ…身体が……あつ、くて………)」

…ジャイアントワームの粘液を浴びたアリサの身体に、異変が起き始めていた。
身体の芯が熱く疼き、足腰に上手く力が入らない。
そして先ほどまでの超人的なスピードや跳躍力が嘘のように、
身体が、手にしたレイピアが、纏ったドレスが…重い。

「グオオォォォオオ……」
「やばっ、来る!!…おい亜理紗!!…一体、どうしちゃったんだよ!!」

266: 名無しさん :2017/04/12(水) 23:53:16 ID:???
「きゃあああああああ!!!」
「亜理沙ぁあ!」
サンドワームの巨大な尻尾が、突然動きの鈍くなったアリサを捉え、大きく吹き飛ばした。

「NO36、わらわらソルジャーズ!」
彩芽の鞄から、たくさんの玩具の兵隊が飛び出したかと思うと、アリサを追撃しようとしていたサンドワームに攻撃をしかける。
トイス○ーリーの兵隊たちやガ○ダムXのビットMSから着想を得た、戦う小型ロボット群だ!

「これで時間稼ぎにはなるか……亜理紗!無事か!?」
「う……ぐ……あん……」
「わ、なんかエロい」
「そ、そんなこと言ってる場合ですの……?ぐぅう……」

吹き飛ばされて壁に叩き付けられたアリサだが、直接的なダメージ自体はそこまで酷いわけではない。今までの旅で何度も喰らったことのある程度だ。しかし、何故か異様に身体が疼く。

「お、おい、ほんとにどうしちゃったんだよ亜理紗!」
「こ、これはダメージというより………何かの状態異常のような……」
「よし、こんな時はNO53スキャンゴーグルの出番だ!眼鏡の上からゴーグルかけて……てなんだこりゃ!?状態:発情なんて表記初めて見たぞ!?」
「んな!?私はこんな状況で盛る変態ではありませんわ!」
「そうか!きっとさっき亜理紗が浴びた粘液が媚薬だったんだ!エロ同人みたいに!」

「ギシャアアアアアア!!」
そうこうしているうちに彩芽のわらわらソルジャーズは全滅間近になってしまった。

「とりあえず亜理紗!その服脱げ!興奮してる今はそんなのただのデメリット装備だ!武器はボクのアヤメカを貸すから!」
「ななな、何を言ってますの!?」
「その服と剣は貞淑な奴じゃないと力を引き出せないみたいなんだよ!」
「だからといってこの場で脱げというのはあまりにあまりじゃありませんこと!?というか私は貞淑ですわ!」
「貞淑な奴も媚薬喰らったらふしだらになるんだよ!NTR系エロ同人で読んだ!……てこんなこと言ってる場合じゃない!ボク一人じゃ足止めが限度だ!早く興奮納めるかその服脱ぐかして戦線に復帰してくれ!」

そう言って彩芽はまた自らの発明品で戦いはじめたが、前衛なしでは長くはもたないだろう。

(……え?これ本当に脱ぐ流れですの?それか自分で興奮納める流れですの?)
媚薬によって火照った身体。火照った身体では力を出せない装備。研究者が見ている前で自分を慰めてさっさと興奮を納めるか、服を脱いで武器はアヤメカを何かしら拝借するか……
アリサは究極の二択を迫られていた。彼女は、第三の道を見つけてその選択を回避することはできるのであろうか!?

267: 名無しさん :2017/04/13(木) 02:52:42 ID:???
アヤメがワームの注意を引き付け…もとい、ワームに追い掛け回されている間、アリサは激しく葛藤していた。

(彩芽だけならまだしも、あの怪しい科学者達が見ている前で裸になんて、とても無理ですわ…!
それに、身体の疼きがますますひどくなってきてますし…やっぱり、どうにかして鎮めないと!
…その……アソコを…擦れば、いいのかしら……でも、素手で触れるのはちょっと抵抗が。
そうですわ、リコルヌの柄を使えば……って、いやいやいや!わたくしったら何を考えてますの!?
アングレーム家の家宝、お父様とお母様の形見をそんなふしだらな事に使うなんて!
だ、だいたい彩芽もあんまりですわ。いきなり脱げ!とか納めろ!とか言われても、どうしていいか…
だいいちそんなふしだらなコトするなんて、それこそ貞淑な乙女も何もありませんわ!
…それとも、こ…こういうのって、わたくしが知らないだけで、知ってて当然、ヤってて当たり前な物なのかしら…?
彩芽もエロげ?とかエロどーじん?とか、何だかわからないけど詳しいみたいですし。
唯や瑠奈も…そういえば初めて会った時、やたらとセクシーなナース服を着ていたし…
まさか二人であんな事やこんな事や、それどころかわたくしには想像もつかないようなソレやらナニやらを…)

「何でもいいから早くしてくれよぉぉぉおぉ!!」
…彩芽は唾液まみれになりながら逃げ帰って来て……

「ああもう…頭がこんがらがってきましたわ!……そんなに言うなら、彩芽がヤってくださいな!!」
……アリサを巻き込みながら、盛大にすっ転んだ。

<ワームの唾液によるランダムBS付与効果が発動しました>
アリサ BS:発情 錯乱 
アヤメ BS:ラッキースケベ

268: 名無しさん :2017/04/13(木) 21:44:22 ID:lCNEjBfA
「きゃ、きゃあああああああ!!何をなさいますの!」
「ぶへら!」
転んだ拍子に彩芽にラッキースケベで胸を揉まれ、思わず彩芽を殴るアリサ。

「しょ、しょうがないだろ事故なんだから!ていうかさっき亜理紗が自分で『彩芽がヤってくださいな』って言ったんじゃないか!」
「そ、それはそうですけど……!」
「ていうかボクは何もエロいことしろって言ったんじゃないんだよ!回復魔法かなんかで身体の調子を戻せって意味で興奮を収めろって言ったんだ!」
「そ、それならそうと言ってくだされば…!どちらにしろ、私の魔法で治るんだったらとっくにやってますわ!治らないから困ってるんですの!」
「ああもう、じゃあ脱いでくれよ!」
「怪しい研究者が見てる前で脱げるわけないでしょう!?」
「脱ぐのはダメで自慰はオッケーなのか!?」
「示威?ワームを怯えさせるんですの?」
「こ、こいつ……!初心にも程があるだろ……!ボクらもう16歳だぞ!?」

「ギシャアアアアアア!!!」

「わ、来た!ええい、もう後は野となれ山となれ!NO76『スーパーウルトラスペシャルグラマラスプレミアム(略)……ストップウォッチ』!」
3分間だけ時間を止める彩芽のとっておき。迫りくるサンドワームの脅威は一時的に止まった。そして、止まった時間の中で、彩芽は……。

「ギャアアアアアア!?」

「な、何が起こったんだ!?」
異世界人の少女2人を追い詰めていたはずのジャイアントサンドワームが、突如悲鳴をあげてのけ反っていいる様子に、科学者たちは愕然とする。

「いやぁああああああ!!!身体が軽い!彩芽ったら私にナニをしたんですの!?」
「……言わせんな恥ずかしい」
「いやぁああああああああ!これから貴女とどう接すればいいんですのー!?」
彩芽が止まった時間の中でアリサに何をしたか。彼女らの尊厳のため、敢えてこの場では具体的に何をしたかは語るまい。

「それもこれも全部……!あの科学者たちのせいですわ!」
「そ、そうだそうだ!全部あの連中が悪い!」
「こうなったらもう全力で行きますわよ!彩芽!」
「おう!あと、終わったらボクに弁明の機会くれよな!」


  • 最終更新:2018-01-21 23:25:02

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