07.12.一人旅

43: 名無しさん :2017/01/25(水) 23:39:31 ID:???
所変わって、ここは王都南に広がるアレイ草原。唯たちよりも早く下水道を脱出したアリサは、あのスライムたちに襲われることなく脱出していた。
友に別れを告げ、異世界人が集まるというアルガスの国へと1人向かうアリサ。
草原を根城にしている恐ろしい盗賊たちが、そんな彼女を邪な心で手厚く歓迎していた。

「クソッ…どいつもこいつも女ひとりにやられやがって、情けねえ。」
アリサが峰打ちした盗賊たちが2人を囲むように倒れている。どれも戦闘能力の高い盗賊たちだったが、剣を持ったアリサの前では全く歯が立たなかったようだ。
「あなたも、女ひとり相手に膝をつくことになるんですのよ。ここで大人しく引き下がるなら、見逃して差し上げますわ。」
「ふざけんなっ!女ひとりに俺たちがやられるなんてことがあるかぁっ!テメェは絶対ブッ殺してやる!!」
男は剣を取り出し、鬼のような形相を浮かべてアリサへと走り出した!

「グルルルルルアアアアアアッッッ!!!!ガルアアァアァッ!」
野獣のような大声をあげながら繰り出される怒涛の連続攻撃。その全てをアリサは最小限の動きで軽々といなしていく。
「クソッ…!クソッ!なんで当たらねえ!!」
「闇雲に振り回しているだけでは、どんな名剣もおもちゃと同じ…あなたは剣に遊ばれているだけですわ。」
「こ、この俺が…遊ばれているだと!?そんなワケあるカァッ!!」
「はぁ…わたくしは貴方のような人間が1番嫌いですわ。人の話も聞かず、理不尽に暴力を振りかざすだけの、浅はかで野蛮な原始人が、ね。」
「こんの……クソッガキャアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

激昂した男のなぎ払いを舞うように回避し、アリサは一瞬で男の後ろに回り混む。
「なっ…!?」
「稚拙だったとはいえ、わたくしと一緒に踊ったことは誇りに思いなさい…!」
「や、やめろ…ごはあぁっ!!!」



盗賊のボスに峰打ちを決め、アリサはふぅ、と息をついた。
(さっきからこんな連中ばかり…わたくしが1人だから襲いかかってくるんでしょうけど、流石に疲れますわね…)
少なく見ても今まで4、50人と戦闘をしただろう。自分を見るなり目の色を変えて襲ってくる男たちを、アリサは悉く打ち倒している。
敵の前では見せなかったが、剣を振るう腕と、それを支える足にはかなりの疲労が溜まっていた。
(まだお昼の時間なのに…道中こんなことばかりしていたら、身が持ちませんわ…)
とりあえず休憩をすることに決め、近くの岩場に腰を落ち着ける。そこで初めてアリサは背後にいた人影に気がついた。

「嬢ちゃん強えな!この辺で暴れてた山賊どもをみんな倒しちまった!おかげで俺が襲われずにすんだよ。ありがとな。」
「い、いえ…わたくしはただ襲われたから、返り討ちにしただけですわ。」
「それが助かったって言ってんだよ。俺は商人やってんだ。お礼になんか欲しいものやるよ!何が欲しい?」
気前のいい行商人の荷台の中には、洋服や道具や武器が所狭しと詰まっている。
「じゃあお言葉に甘えて…とりあえず洋服が欲しいですわね。」
「おおっ!おおおっ!嬢ちゃん……よく見るとかなり別嬪さんだな!気に入った!掘り出しモンのこれをやるよ!」

商人が出したのは純白のドレス。一見普通のドレスだが…
「ルミナスの魔法少女が作ったドレスだ。弱い魔法なら跳ね返すし、物理攻撃も軽減してくれる。そしてなんと、暑さも寒さも魔力で和らげちまう優れモンだ。水洗いて綺麗になる魔法もかけられてるから、長旅なら必ず役に立つぜ。」
「す、すごいドレスですわね…!でも、こんな素晴らしいものを無償で貰い受けるわけにはいかないですわ。」
「いいんだよ。その格好からしてどうせ金なんか持ってねえだろ?俺の顔を立てると思って持っていってくれや!」

半ば強引にドレスや折りたたみテントなどを無料で押し付けられたアリサ。商人は旅の無事を祈ると言い、手を振りながら去ってしまった。
(本当に、こんな世界にも素敵な人はいるんですのね…夜の寒さも凌げそうだし、とても助かりましたわ…)
間も無く夜の帳が下りようとしている。アリサは寝床を探すために、行動を再開した。

  • 最終更新:2018-01-25 23:55:00

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