06.05.決着

230: 名無しさん :2016/12/28(水) 00:38:13 ID:???
(私には…何も言えない……本当のことを言う勇気も、嘘をつける賢さも、私には、ない…)
目の前が真っ暗になり、崩れるように膝をついた。
分厚くどす黒い絶望の闇が頭の中まで流れ込んできたように、何も考えることが出来ない。

「まさかこんな場所で、わたくしの趣味を分かち合える親友に出会えるなんて!」
「私もビックリだよー!なかなか周りに趣味が合う人いなくて…」
(アイナとエミリア…出会ったその日から、あんなに仲良くなれたのを見て…すごく、うらやましかった…)
何も見えない。下卑た笑みを浮かべて近づいてくる兵士達の姿も…エミリアの悲鳴も、聞こえない。

「リ…リザはアイナの話し相手になってくれるのか、そこが問題ですわ…」
「相手の考えてることなんて深く考える必要はありません!言いたいことをハッキリ言うことが大事…」
(私も、アイナに…もっと、想いを伝えればよかった……小さい頃から、ずっと一緒だったのに…)
兵士が何か言っている。何も聞こえない。周りの景色が歪んで…地面が、顔の真横にあった。

「エミリアと、仲良くなってほしかった…私はただ…アイナが大好きで…大好きなアイナに、笑ってほしかったから…」

「…やっと、本当の気持ちを伝えてくれましたわね」
…アイナの声が、聞こえた気がした。

・・・・・・

「…ん?なんだコイツ…まだ生きて…」
…アイナを捕まえていた偽サンタが、異変に気付く。

「…今夜はいろいろ酷い目に遭いましたけど…私のリザが、大好きって言ってくれて…おまけに可愛いサンタ姿まで見られて…
 逆転満塁今世紀最高のウルトラハッピーメリークリスマスですわ!!イヤッホーーーーウ!!!!」
「ええいやかましい!大人しくし…っグ!?」
押さえつけようとした偽サンタの口に、チョコが放り込まれ…

(ズドオオン!!)
「グオオオーーーッ!!?」
「あら、ごめんあそばせ。やかましついでにチョコっと幸せお裾分けですわ…アイナのイチ押し『ゴールデンマスタード』!」
攻撃無効化能力すら貫通する超威力の小型爆弾チョコが、サンタの口内で爆炎を上げた!

232: ごめんね 決め技だけ出させてね :2016/12/28(水) 02:40:57 ID:???
(>>230から)

「あ……アイナっ…!!」「リザちゃーーーん!!あーーもう、めっちゃベリベリ可愛すぎですわーー!!」
あっけに取られた兵士達を蹴り倒しながら、リザに飛びつくアイナ。

「貴様らぁ…調子に乗るなよ。この俺様に、勝てるとでも…ヒック」

…だがマスタードボムを喰らった偽サンタも、まだ致命傷には至らない。
その手には、ワインボトルと七面鳥…明らかに酔っている。そして狂戦士化している!

「な、なんかヤバそうな武器も持ってるよ…!…こうなったら私の魔法で…」
「…アイナ、『あれ』をやろう」
「こんなザコには勿体無いですけど、リザがそう言うなら…今までやられた分、千倍返しですわ!」

アイナとリザはエミリアを下がらせると、偽サンタに向けて片手を突き出す。
二人の手にはめられた赤い宝石の指輪から、細い光の糸が伸びて……二人の指と指をつなぐ、一本の糸になった。

「フン…何をするつもりか知らんが、ボロボロの貴様らに、今さら何が出来……」

「「エクストリーム・ピジョンブラッド!!」」

掛け声とともに、二人の姿が消え…偽サンタの巨体が、血煙を噴き上げながら見る間に「分解」されていく。

「スピカ」と「ベガ」。二つの指輪が光の糸で接続された瞬間、
二人はそれぞれの能力を共有…瞬間移動と気配隠滅が使用可能となる。
そして二人の指に繋がれた糸は、二人の心の繋がりの強さによって無限の硬度・切れ味を発揮する。
…この事が、何を意味するのか。

例えば二人が瞬間移動で敵の間を通り抜けるだけで…
「…グワアアアッ!!」「アギイイッ!!」「…ぐあああああっ!!」
その動線上にある、あらゆるものは両断される。射程距離は、リザの瞬間移動と同じ半径範囲50m。
瞬時に発動し、連発も可能。そして、使い手の二人は姿も見えず足音もない…
スラムの片隅で拾われた二人の幼い少女を王下最強の十輝星へと押し上げた、まさに世界最強の暗殺技であった。

「有りえん!…断じて有りえん!一体何が起きている!!…俺を誰だと思っている!…俺は、俺は……」
「サンタクロースでしたっけ?…偽の」「…どうでもいい。そんな事より…」

宙を舞うサンタクロースの生首。その両側に立つリザとアイナ。

「アイナと」「アイナのリザと…」「そして…エミリアを、傷つけた事。」

二人の手が、横に鋭く流れると…両断、輪切り、そして肉片となり、最後は赤い霧となって消滅した。

「…地獄で後悔」「なさいませ?」

「……アイナちゃん…リザちゃん………」
何十本、何百本もの赤い閃光…辛うじてエミリアに視認できたのは、それだけだった。

(>>231へ)

231: 名無しさん :2016/12/28(水) 01:49:46 ID:???
「あぁっ!?サンタアアアァァァ!?」
「な、なんてことしやがる!人々に夢を与えるサンタさんを粉々にしやがってえ!」
「うるさいですわ!クリスマスはもう終わり!そしてお前らが初日の出を見ることはこのアイナが許しませんッ!」
傷はまだ癒えていないものの、自身のお菓子でいつのまにか回復しているアイナはすぐさま姿を消した。
「な、なにをするつもりだ…ん?なんだこのチョコは…パクっ」
「ちょ!それはさっきの…!まさかこのチョコ…人の脳内に催眠をかけて動かしやがるのか!?」
「かはっ…やっぱ毒だったわw…」バタン
「Bーーーーーーーーーッ!!!」

「さぁ、あなたはどうやって料理するか…毒入りチョコなんか生温いですわ。生クリームと砂糖を大量に入れた練乳をひたすら飲み続けて死ぬか、体をゆっくり溶かしていく壊死壊死キャンディーを舐め続けるか、どっちか選ぶがいいですわ!」
「ひいぃ!どっちも嫌だぁ!頼む!見逃してくれーぃ!王様にも言わないでくれーぃ!この職場にも居づらいから転職先紹介してくれーぃ!やらしい女紹介してくれーぃ!あと肩揉んでくれーぃ!」
「な、なにを虫のいいことをずらずらと…!ふざけるんじゃありませんわ!」
「アイナ…その雑魚は後で私が生まれたことを後悔させるから縛っておいて…」
「うおっ!?久しぶりのブラックリザちゃんご登場…!今日の天気は晴れ後々血の雨になること必至ですわね…!」

すっかり形勢逆転し、いつもの調子を取り戻した2人を見て、エミリアは戦慄した。
「2人とも…わたしをどうするつもりなの…?」
「はぁ?そんなのとっ捕まえて王様に差し出すに決まってますわ!アイナとリザちゃんたちはそのためにこんなクソ寒い過疎地に来たんですのよっ!」
「ちゃん付けはやめてってば…それよりアイナ、本当にこれでいいの…?エミリアのこと気に入ってたのに…」
「…リザちゃんはアイナのことをまだわかっていませんのね…仮初めの友情、しょーもない友人も不要。アイナには…本当に信頼できる相棒がいればそれで充分ですわ。」
「…了解。…エミリア、ごめんね。」

「いや、リザちゃん、来ないで…!わたしが何をしたって言うのよッ!?いやっ!やめてえっ!やめてえええぇっ!おとうさんおかあさん助けてええええっ!!!いやああああぁあぁあぁあぁあぁああああッッッ!!」

その優しすぎる性格で友に裏切られ、彼女は二度と故郷と家族の元に帰ることは叶わなくなった。
すぐ後、エミリアを失ったガラドは王都軍の侵攻を簡単に許し、あっけなく陥落することとなる…

  • 最終更新:2018-01-21 23:02:33

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