06.04.サンタとの闘い

225: 名無しさん :2016/12/26(月) 22:24:50 ID:???
リザの輝く刃が閃光のごとく乱舞!全身を切り刻まれ、メリクリ(略)は身体から火花を散らせ巨体を傾ける。

「リザちゃんすごい…!…でも…本当に大丈夫なの…?」
まさに鬼神のごとき戦いぶりのリザ。だが、後方から眺めるエミリアの胸には不安がよぎっていた。
(ここに来るまでに百人近い兵士を相手に戦いっぱなしなのに…さっきドリルから助けてくれた時だって、すごく辛そうだった…)

「はあっ……はあっ……まだ…まだっ…!」
見事な連撃を決めはしたものの、疲労で膝がガクガクと震えだす…エミリアの不安は的中していた。
だがあの巨大ロボを沈黙させるには、おそらく今の攻撃を最低あと2~3回は繰り出す必要があるだろう。

リザが再び己を奮い立たせ、ロボの巨体を見上げた、その時…大きくて白い何かに、視界を塞がれた。
それは、巨大な布袋だった。中にたくさんのプレゼントや玩具、あるいは別の何かが詰まっていそうな…

(……ずどんっ!!)
「…ぐああっ!?」
「…まったく情けない雑兵どもよ。これしきでいちいち動揺しているから、貴様らはいつまでたってもうだつが上がらんのだ」

「だ…誰、だ…お前は……」
額からの流血を押さえながらリザが問いかける。だがそれに対する答えは……

「…サンタクロースさ」
…見たまんまだった。

「サンタさん!いつの間に外に…!」
「そうか、リザと同じテレポート能力で…!」

「小娘の魔法で、ただのナイフが伝説の武器級の威力になったわけか…面白い。遊んでやるからさっさと起きろ」
(…こいつ……ただ者じゃ、ない…!)

「兵士ども…魔法使いの小娘だけなら、お前達だけで何とでもなるだろう?…とっとと片付けろ」

「ヒューッ!やっぱアンタ最高だぜ!」
「よし!エミリアちゃんだけなら楽勝だ!とっ捕まえて巨大ロボの手でニギニギしてやろうぜ!」

(どうしよう…あのサンタの格好した人、かなり強そう…なんとかしてリザちゃんを助けなきゃ!)
だがそのためには、立ちふさがる巨大ロボを…魔法を無効化する強敵を切り抜けなければならない。
再び絶体絶命の窮地に立たされたリザとエミリア。果たしてアイナを救出する事はできるのか!

226: 名無しさん :2016/12/27(火) 00:43:48 ID:???
「はっはっは!!くらえ!サンタクロースの殺人玩具No.9!!」
奇しくも同じ能力、奇しくも同じサンタコスプレ。巨大ロボからの粘液雪が降る中、二人の偽サンタが激突する。
だが、パワー、体格、防御力、スタミナ…全てにおいて、リザは圧倒的かつ徹底的に不利だった。

「くっ……蹴りが跳ね返され………っあぁっ!!」
スピードで攪乱しようにも、相手はリザと同じ瞬間移動に加え、アイナの気配を消す能力まで使ってくる。
袋から次々出てくる殺人玩具によって、あっという間にボロボロにされてしまった。
「もう抵抗は終わりのようだな……大人しい良い子には、アカバーナーの『焼印』をプレゼントしてやろう…
あの人質の娘と同じ場所にな。くっくっくっく…!」

「リザちゃんっ…なんとかしなきゃ…でも、どうすれば……きゃうっ…しまっ……!!」
一方のエミリアも、兵士たちが操る巨大ロボに手も足も出ず。
バリアに魔法を阻まれ、ドリルに追い詰められ、粘液を浴びせられ…
…そしてついに、ロボの巨大な手に捕まってしまった!

「へっへっへ…捕まえたぜぇ…『爆炎のスカーレット』も大したことないな!」
「いやいや。ありゃ、ゼッ…タイ着やせするタイプだぜ!…俺にはわかる」
「この手袋型コントローラーすげー…手に感触が伝わってくるぜ!やーらけぇ…」
「マジで!?お、俺にもヤらせて!……うわー。指とか突っ込んじゃおかな…」

「いっ…や…放して…こんな事……んっ…ああぁっ…!!」
巨大な手のひらで締め上げられるエミリア。
妙にいやらしい指の動きに翻弄され、呪文を唱える事もままならない。

「ああ、たまんねーなぁ…つか、エミリアちゃん殺すの惜しくなってきたな」
「もうレジスタンスの手土産とか面倒なことしないで、三人とも俺らの性奴隷にしちまおうぜ!」
「それもアリだな!考えてみりゃこのロボがあればレジスタンスも余裕で乗っ取れるしな!」
「まったく、サンタさんは最高だぜ!!」

強大な力に酔いしれる兵士達は、この時まだ気づいていなかった。
操縦席の後方に縛り上げておいたアイナの姿がいつの間にか「見えなくなっている」事、
そして「対魔法バリアー発生装置」のスイッチが、がら空きになっている事に…

227: 名無しさん :2016/12/27(火) 01:50:22 ID:???
地に伏し動けなくなったリザの体は、アカバーナーの枝に掴まれ身動きを取れなくされた。
そのままゆっくりと上に持ち上げられ、満身創痍のリザの目の前に焼印がじわじわと迫る…!
「さぁお前らお待ちかね…今からあの憎っくき生意気小娘のクソリザにあっつい焼印をぶち当ててやるぜぇっ!」
「くははっ…!まさか俺たちがあのリザをここまでコテンパンにできる日が来るなんてなぁ…!今でも夢見てるみたいだぜ…!」
「見ろよ、あの恐怖に染まった綺麗な青い目…!やっぱルックスは最強に可愛いんだよなぁ…!」

(くっ…アイナを助けられないまま…こんなところで倒れるわけには…!)
リザが必死に体を動かして抵抗するも、アカバーナーの枝はがっちりとリザの体を拘束していて逃れる術は無い。
(ダ…ダメ…テレポートする体力も今の私にはない…仮にできたとしても今の私の体じゃ、動けずにまた捕まるだけ…!)
思考が終わった頃、焼印はすでにリザの目の前に迫っていた…!
「……ッ!!!」
目の前に迫る大きな熱に、リザはたまらず目をぎゅっと瞑り、すぐに感じるであろう強い痛みを覚悟する。
「リ…リザちゃん…!いや…!そんなっ…!お願いだからやめてえええええええ!!!!」
「さぁリザ!今まで誰も聞いたことのないお前の悲鳴を俺らに聞かせろおっ!そして俺らの恨みを思い知れえええええ!!」

ブシュウウウウウウウンンンンン…!
「「「え?」」」
リザの目の前に迫った焼印が突如動きを止めた。それどころか…エミリアを補足していた腕も解かれてしまっている。
「い、いったいどういうことだ…あれ?そういえばジョンは?」
「た、確か後ろにいたはず…ひ、ひえええっ!」
「ど、どうした!?」
「ジ…ジョンが…死んでるううゥゥゥゥゥ!」
後部座席にいたジョンは口いっぱいにガムを詰め込まれて窒息死していた。

228: 名無しさん :2016/12/27(火) 15:34:03 ID:???
「なんで!どうしてだ!?」
「お、おい!あの生意気娘の姿が見えねえ!あんなに厳重に縛って吊るしてボコしてたのに!ヤバい殺られるぞ!」
「お、落ち着けお前ら!血だ!血でできた足跡を探せ!」
「そ、そうか!足跡足跡…ん?こんなところに旨そうなチョコが…パクっ…」
「バカ何食ってんだよ…!!」
「いやでも旨…ぐっ…!?かはっ…毒入りだったわw…」…バタン
「え(A)ーーーっ!!!」


(…あと二人…です…わ…この…まま一気に…!)
全身ボロボロになっていながらも、監視が甘くなった隙になんとか縄を抜け、二人を仕留めた。
股間が尋常でないほど痛み、今にも倒れてしまいそうだが、ここで失敗するわけにはいかない。

「もうこうなったら仕方ねぇ!見えなくても当たりゃいいんだろ!」
銃を乱射し始めるC。その背後からアイナがゆっくりと忍び寄る。
(そんな撃ち方じゃ当たりませんわよ…!)

「ぐあああああああああああ!」

ドサッ…!

汚い悲鳴と共に倒れ込んだのは、スティック菓子に仕込まれた針で首筋を一突きされたC…


ではなく、右肩を拳銃で撃ち抜かれたアイナだった。
「はぁ、はぁ、ギリギリで見つけたぜ…!てか危ねえよバカ俺に当たったらどうすんだ…」
「わりぃ…助かったぜ…コイツ…ふざけた真似しやがって…!足潰しとくか」
バンバン
「あ"っ!うぎゃあ"ああ"あ"あ"あ"ああ"ぁ…!」
(…嘘…ですわ…!…こんなことって……)
足からの大量失血で、アイナは遂に気を失った…

「おい大丈夫か!?」
異変を察知したサンタが飛び込んでくる。
「二人やられました…が、なんとか食い止めました。」
足元に転がるアイナを踏みつけながら兵士が報告する。
「ただ銃を乱射したせいでもうじき爆発しそうです…」
「見張っておけば防げたものを…人質がどれだけ有効なカードかわかっていなかったようだな…とりあえず脱出だ!」


…ドカーーーン!!

アイナを抱えたサンタと二人の兵士が脱出して間もなく、メリクリロボは大爆発した。

「きゃああああああああああっ!」

ロボの近くに倒れていたリザとエミリアは、爆風に巻き込まれて大きく飛ばされた。
「うう…なんで急に爆発するのよ…!大丈夫リザちゃん!?」
「…えぇ、なんとか…でもまだ、動けそうにない…エミリアは…?」
「私は大丈夫よ!あ!アイナちゃんは!?」

「アイナちゃんはここだよ。」
「…!?…アイナ…っ!」
「アイナちゃん!?」
兵士の1人がアイナのこめかみに銃を当て、もう1人とサンタがその脇に立っていた。

「君たちはよくもまあ人質の身の安全も考えずに攻撃してきたね。お陰でこの通り、君達の友人はもう虫の息だよ。」
「…っ!!」
全身から血を流してぐったりとしているアイナの姿に、リザは申し訳なさで胸が締め付けられる思いがした。
(…もしも私があのとき、とりあえず食べてなんて言わなければ、こんなことには…!)
「武器を捨てて手を上げろ。そこから少しでも動いたらコイツの命はないと思え。」
(今はあいつらの言う通りにするしかない…これから…どうすればいいの…?)
精神的に追い詰められていくリザ。
しかし、さらに追い打ちをかけるように…
「と、リザさんのプランBに基づく指示によれば、こんな感じにすればよかったんですよね?」
「っ!!」
全身から血の気が引いていく感じがする。思わずエミリアから顔をそむける。
「え?何?プランB?リザちゃん、この人たちと知り合いなの?」
「…………」
うつむいたまま、顔をあげることができない。
「ねえリザちゃん!」
エミリアに顔を合わせることができない…

「ハハッ、そりゃ言えないですよね。王の指示でエミリア・スカーレットを捕獲、もしくは殺害するためにこの町に来て、今もその任務の途中だなんて。実は最初から騙してたなんて、言えるわけがない!そうですよね?王下十輝星、『スピカ』のリザさん?」
「…………」
「嘘…でしょ…王下十輝星って……嘘だよね?あいつらが適当なこと言ってるだけだよね!」
エミリアの視線が痛い。
「安心してリザちゃん!私あんな嘘信じないから!リザちゃんが王下十輝星みたいな酷いことするわけないよね!ねえリザちゃん…?どうしてさっきから何も言ってくれないの…?」

何も言えなかった。言えるはずがなかった…

229: 名無しさん :2016/12/27(火) 20:58:11 ID:gqOF6MTQ
(…こんなときアイナだったら、上手に誤魔化せるんだろうけど…私にはできない…!)
「嘘だよっ…!やっぱりそんなわけないよ!さっきだってリザちゃんは私の命を身を挺して守ってくれたんだもん!適当なことを言わないでッ!」
「へっ…リザはな、裏切った俺らをお前と共闘して倒した後、アイナと自分を治療させてからお前を生け捕りにするつもりなんだよ!…それまでは恐ろしい正体を隠してさも味方のフリをしてなぁ!なぁ!そうだよなぁリザアァッ!!!」
「ぐぅッ…!」

兵の言うことは図星だった。いくら助けてもらっても、いくら心根の優しい少女でも、リザにとっては捕らえるべき「ターゲット」なのだ。
サンタたちを退けた後のことはあまり考えないようにしていたが…やはりその後は兵の言う通りの方法でエミリアを捕まえていただろう。
王下十輝星として暗躍するリザは、いくら自分の意思と反しているとはいえ王に逆らうことなど絶対に出来なかった。
一体何が彼女をそうさせているのか…今はまだ、それを語る時ではない。

「嘘よぉっ!嘘嘘嘘!!!リザちゃんはやく嘘って言ってえッ!もう聞きたくないっ!もう聞きたくないよォッ!!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「嘘って…言ってよ…ねぇ…お願い…!」

泣き崩れるエミリア。だがリザはどうやってアイナを助けるか、そればかり考えていた。


  • 最終更新:2018-01-21 23:02:01

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