02.02.第二試合

130: 名無しさん :2016/11/22(火) 23:58:33 ID:???
「驚異の新人、デビュー戦で中級闘士を撃破!しかも無傷のパーフェクト勝利。
おまけにド派手な残虐決着(フェイタリティ・フィニッシュ)…いやまったくサイコーだよ!ヒヒヒヒ!!」
諸々のボーナスにより、新人としては異例な高額の報奨金が出る事を告げられた唯。
つまりそれは、瑠奈の救出が大きく近づいた事を意味していたが…それでも、唯の気分は暗く沈んでいた。

「…ああ、桜子ちゃんの事が気になるの?大丈夫、無事蘇生に成功したよ。
なーんせウチのスタッフは優秀だから!その気になれば肉片1個からでも再生可能!スゴイっしょ!?」

「そう、ですか……うっ…お、ぇ…!!」
蘇生した…それはつまり、一度は死んだという事。そして、彼女を殺したのは…
そう思うと、体の奥から猛烈な吐き気が沸き起こってきて…しばらく収まる事はなかった。

「あ~あ。王の御前でリバースしないでくんないかなーもう…まぁ、気にする事はないさ。
彼女も階級こそ『少々』下がったが、まだ闘士は続けるわけだし。いずれまた会う事もあるかもね?ヒヒヒ…」

…王は、確かにそう言っていた。

(そう、なんだ…すごいな…あんな事になったのに…それなのに、勝った私がいつまでも落ち込んだままなんて…)

いつかまた、対戦する事があったら…いや、いつかきっと、また戦いたい。今度は正々堂々と。
唯は心からそう思い、春川桜子の『強さ』に深い尊敬の念を覚えた。だが…

………

額がズキズキと痛む。手を当てると、うっすらと血が滲んでいた。…石を投げつけられたらしい。

「この、悪魔っ…! お前のせいで、桜子お姉ちゃんは…私はお前を、絶対に許さない!!」
「桜、子…さん…?…どういうこと…一体、何を…」

…目の前の少女が何を言っているのか、唯には全く解らなかった。

「こら、このガキ!試合前の闘士になんて事を!」
「放せ!放せよっ!!お前のせいで…お前さえいなければ…うあぁぁぁぁああああ!!!」

唯より少し年下と思われる灰色の髪の少女は、事情を聴く間もなく警備員に連れ去られてしまう。

(待って…何があったの…私、一体……何を……)
自分のせいで、自分の知らない所で…何かが起きていた、というのだろうか。

「…どうした篠原選手? その怪我、医務室で手当を…」
「あ、いえ…大丈夫、です………本当に、大丈夫ですから…」

…何もわからないまま、もうすぐ次の試合が始まる。瑠奈を助けるための、負けられない戦いが。
だが…あの惨劇を引き起こした「妖精の服」を、唯はどうしても着る気になれなかった。

131: 名無しさん :2016/11/23(水) 01:57:07 ID:???
「赤コーナー! 鮮烈デビューを飾った脅威の新人、
今宵もスタジアムに血の華を咲かせるか!『殺戮妖精』篠原 唯ーー!」

唯は…初戦で着ていた「妖精の服」ではなく、通っている高校の制服姿。
なぜこんな物が用意されているのかは謎だが、「妖精の服」以外なら何でも良い、と思い、
着慣れた物を選んだのであった。だが…。

「おおっと!今日は学校の制服を着ています!現役JKと聞いてはいましたが…どうですかカイセツさん!」
「あの制服、『陵植女学院』のものですね!篠原選手、結構いい所のお嬢様だったようです!」
「なんと!カイセツさん、女子高の制服にもせいつうしていたー!唯選手早くも学校バレ!色々と大丈夫なのかー!?」

(し、しまった…そこまでは考えてなかった…!)

客席からは大歓声が巻き起こる。下種な冗談や謎求婚も混ざっているが、
大半は好意的な応援である…少なくとも表面上は。
中には、つい先日まで桜子を応援していた者も少なからずいる事だろう。


「青コーナー!…重量感あふれるパワー!予想外に速くてキモいスピード!そして圧倒的に気持ち悪いビジュアル!
全闘士アンケート戦いたくない相手、堂々の3年連続No.1!『史上最悪のオーク』…ウーゴ・ケルデヴーー!」

対戦相手は、身長が唯の2倍、横幅は4倍、体重に至っては桁1つ違いそうな巨体を持つ亜人。
ブクブクと太った脂肪の塊のような体からダラダラと汗を垂れ流し、歩くたびにズシンズシン…
ではなく、ビチャンビチャンと粘着質な音を立てている。…かなりの発汗体質らしい。

全身から漂う異臭は観客席にまで届いているようで、激しいブーイングが巻き起こっている。

「グヒッ、ユイちゃんて言うのかぁ…よろしぐねぇ~…あー、いい匂いするなぁ…グヒヒ」
(うわ、どうしよう…投げでも打撃でも倒せる気がしない…)

魔物との戦いも覚悟はしていた唯だが、ここまでの体格差は想像していなかった。
何か武器(できれば飛び道具系)でも借りておけばよかった、と後悔するも時すでに遅し。

「では試合開始です!! LETS!ROCK!!」

132: 名無しさん :2016/11/23(水) 02:06:02 ID:???
「ウーゴ選手、攻める攻める攻める!前評判通り意外と素早い!そしてキモーい!!
だが唯選手、なんなく攻撃を…いや、これは…!」

「ぐひひひ…そらそらぁ。づがまえぢゃうぞぉぉ…」
「くっ…きゃあっ!?…」

長くて太い腕を振り回し、序盤から攻勢を仕掛けるウーゴ。
対する唯は…前回見せた超高速の回避技を出す気配はなく、
巨体の割に素早くはあるが単純で大振りなウーゴの攻撃を、やっとの事で避け続けているように見えた。
時折ウーゴの指が唯の身体を掠め、巨体から飛び散る脂汗の飛沫で唯の制服が汚されていく。

「ぐひぃ…ヤるなぁユイぢゃぁん……でも逃げてばっかじゃ勝でないぞぉ…グひっ!!」
「はぁっ…はぁっ……うう、酸っぱい臭いが、目に入ってくる…」
(さ、さすがに気持ち悪い…けど攻撃のリズムは、掴めてきた…)

(ここをかわして、合わせる…!)

亜人型の魔物なら、カウンターの取り方は人間相手とほぼ変わらない。
敵の懐に入り、掌底を当てようとした唯だが、腹部を破壊された桜子の最期が脳裏をよぎり…
(…だ、めっ…打てない…!)
攻撃を繰り出す寸前で、動きが止まってしまった。

「ひひ、ぐひ…自分がら飛び込んでぐるなんて…ラッギーなんだな"ぁ…ぎひィ…!!」
当然、敵がその隙を逃すはずもない。ウーゴは唯の身体を捕まえると、軽々と持ち上げて…

(みちっ…みちみちっ…!!)
「きゃっ…ぐ、あぁぁあああぁああああぁっ!!!」
文字通り人間離れした怪力で…そのまま、握りしめる!

133: 名無しさん :2016/11/23(水) 09:40:36 ID:???
「ゲッヘヘ…ユイぢゃん、カわいい声で喘ぐんだなぁ…オデにもっと聞かせてぐれよぉ…」

ギュウウッ…みちみちみちみち…!」
「あああああぁぁぁああーーーッ!」

ウーゴの握力は見た目通り凄まじく、唯は甲高い声で絶叫した。
なんとか抜け出す方法も考えるも、腕も足も使えないこの状況では唯の合気の技は完全に封じられていて、どうすることもできない。

「ユイちゃん、今日は何色のパンツ履いてるのかなぁ…?オデに見せてくれろぉ…」

「きゃあっ!?やめてぇ!!!」

ウーゴはユイを左手でつまみ上げ、右手でゆっくりと制服のスカートを捲り上げた。

「白にピンク色のつぶつぶがいっぱいあるぞぉ…これはハートかぁ~!オデのことが好きっていうメッセージなのかなぁ?グヘヘへへ…」

「いやあああっ!見ないでぇーー!」

ウーゴの笑い声とともに、観客席からも
男たちの鼻息が聞こえてくる。唯は恥ずかしくて顔が真っ赤になった。

(あっ…でも今、ここから抜け出すチャンスかも…!)

唯はすばやく体をひねり、ウーゴの手から脱出し着地した。が…

「あああっ…おパンツに夢中で逃げられちゃったなぁ…でもユイぢゃん…スカート脱げちゃったなあ…ゲッヘヘへ!」

「ふえっ!?いやあんっ!!!」

唯はすばやく股を隠した。スカートはウーゴが摘んでいたためそのまま脱げてしまったのだ。

「おおっと唯選手、スカートを犠牲に脱出したー!ここから殺戮妖精の本領発揮なるかー!それにしてもかわいいパンティだーー!!」

実況も観客も大盛り上がりだが、唯は穴があったら入って掘り進めたかった。

「ううっ…こんな怪物が相手ならあのワンピース着てくればよかったよぉ…」

134: お先に上がってたようですが、没供養ってことで投下 132より :2016/11/23(水) 10:22:33 ID:???
(ぎりっ……ぐちゅ……ぎちぎちぎちぎち…)
「あっ…ぅ……っく……!…」
(痛い…声が、出ない………体中が…バラバラになりそう…!)

汗まみれの巨大な手に上体をギチギチと握り締められ、苦しげなうめき声を漏らす唯。
脚をバタつかせて抵抗していたが、その動きもだんだんと弱くなり…

「おっとー!篠原選手捕まったー!闘技場参戦以来、初のダメージだが…かなり効いているようだぞー!」
「ウーゴ選手の手汗は、松ヤニ並の粘着力がありますからね…一度捕まったら抜け出すのは至難の業ですよ」

(なあ、唯ちゃん…様子が変じゃないか…?)
(そうだな。相手の攻撃も、ギリギリでかわしてたみたいだし…)
(それに今のショボい攻撃…あれなら俺でも勝てそうだな!)

実況も客席の観衆も、次第に唯の異変に気付き始めていた。
理由は分からないが、前回見せていた異常な回避能力も、破壊的な攻撃も使わない…いや、『使えない』らしい事に。

となると、今の唯は何の力も持たない普通の高校生…それもとびきり美少女の。
そんな彼女が汚らしい巨漢の豚獣人に、圧倒的な力で蹂躙されている光景を目の当たりにし、観客はにわかにヒートアップした。

<ウオォォオオオオ!!いいぞォ豚ァァァァ!!>
<そのまま骨全部折っちまえぇぇぇ!!>
<ぱんつぬがせろぉぉぉぉ!>
<くさそう>

(べろり…ぬちゅ……)
「やっ…やめ、ひぃ…!…ん、うぅぅ、く…!」
粘つく唾液を大量に纏ったオークの舌が、唯の太股を無遠慮に這い回った。
スカートが捲れ上がって下着が露わになり、股間、お腹、胸、そして頬をべろりと舐め上げられる。
唯は悪臭、嫌悪感、不快感…そして無力感からか、両の瞳に大粒の涙を浮かべた。

「ゲヒッ!…次はスガード、脱がしてやる…」
(…やっぱり……私の力じゃ…無理、なの…?)

「今放送席からも確認できました!水色です!唯選手、スカートの下に穿いているのは、
白いレースとリボンのついた可愛らしい水色のパンツです!カイセツさんどうでしょう本日のお点前は!」
「どうやらブラも同色のようですね。シャツが唾液でぐちょぐちょになって、クッキリと透けて見えますよ」

<ワァァァァ!!最高だぞブタァァァ!!>
<お前は出来るブタだァァァ!!>
<くさそう>

「げひっ!…おまえ”、弱いなぁ……ごないだ戦ったサグラゴって雌のほうが、よっぽど歯ごたえあっだぞぉ…」
(…!…桜子、さん……)
石をぶつけられた額の痛みが、再びぶり返し…唯の意識を覚醒させた。

「でも…おでは、弱いやづいだぶるのが…大好きだぁ…ゲヒッ!…」
(そうだ…私は……こんな、所で…)
そして唯は、思い出す。桜子との戦いを通じて知った『強さ』。石をぶつけた少女の事。そして、負けられない理由…瑠奈の事も。

ウーゴの右手がスカートへと伸びる。
と同時に…唯を掴む左手の拘束も、ほんの少し緩んだ。
「……今っ!!」
唯はその一瞬の隙を逃さず、制服のブレザーを素早く脱ぎ捨てて手汗の拘束から逃れる。と同時に…

「…いっでえええええええ!!!!」

ウーゴの指を両手で掴み、指関節を逆方向に極める!…単純な護身技の一つだが、
油断していたウーゴには抜群の効果を発揮した。

「たしかに、私は弱いよ…多分この闘技場で戦う人達の、誰よりも…
でも、何もわからないまま……誰も助けられないまま……こんな所で、終われない…!」

135: 名無しさん :2016/11/23(水) 10:39:14 ID:???
133を書いたものですが、134の方が書いた内容が素晴らしいので次の方はどちらでも続けたい方でお願いします!

136: 名無しさん :2016/11/23(水) 17:02:43 ID:???
※>>134です ぱんつの色以外の大まかな流れは一緒っぽいので、なんとか良い所どりを目指したい…


「なんとか脱出できたけど…あんな大きい敵、一体どうすれば…」
軋みを上げる身体。ごっそりと削り取られた体力。脱ぎ捨ててしまったブレザーとスカート。

「では今の映像、スローでもう一度見てみましょう!
ご覧ください、この可愛らしいリボンの装飾。そして白地にはいくつものハート模様が…」

<うぉぉぉぉおおお!!>
<唯ちゃんかわいいいよおおお!!>
<くさそう>

「な…!!や、やめてー!そんな、大画面で映さないでくださーい!!」
…そして、現在進行形で下着姿を衆目に晒されているという、羞恥。

多大な犠牲を支払いながらも肥満オークの巨大な手から逃れた唯は、
後方に下がってオークとの間合いを離し、反撃の糸口を探る。だが…

「グヒッ…逃げられな"いぞぉ……地面をよぐ、見てみろぉ…」
「…え!?…これは……!」
後ろに下がろうとした唯は、ずるり、と足を滑らせて危うく転倒しかけた。焦って周囲を見回すと…

「なんと!いつの間にか、試合場一面、ウーゴ選手の脂汗でぐっちょぐちょです!これは一体ー!」
「ウーゴ選手の脂汗は、グリスのようによく滑ります。これでは唯選手、まともに動けません」
「手汗はくっつく、脂汗は滑る…なんと都合のいい特殊体液!まさに『史上最悪のオーク』です!」
「いいえ…まだ、ここからです。ウーゴ選手の本当の恐ろしさは…!」

「グヒィ…これが、オデの必殺わざぁ…」
「え…な、なにこれ……きゃあああぁぁぁっ!!!」

「まさか……そんな事がー!!?」
唯だけでなく、実況席、観客席…誰もが息をのんだ。

「脂肉滑葬弾<ラード・スケート・ボム>!!」
巨体のウーゴが、油塗れの地面を…スピードスケートのように滑走しながら突っ込んでくる!

137: 名無しさん :2016/11/23(水) 17:12:36 ID:???
「え…な、なにこれ……きゃあああぁぁぁっ!!!」

控えめに見積もっても軽トラック並の威力を持つであろう猛烈な一撃。
それを真正面から受けた唯の身体は、ゴムボールのように跳ね飛ばされ…客席の壁に、勢いよく叩き付けられた。

<うわあああぁぁぁ!!なんだ今のはー!!?>
<唯ちゃんが、こないだの桜子ちゃん並に吹っ飛んだぞー!!>
<オークのくせになんか技名が中二っぽいー!!?>

驚きと興奮、そして嗜虐心が渦を巻き、スタジアムの興奮は最高潮に達しようとしている。

唯は、修理が終わったばかりの石壁が再びガラガラと崩れ落ちる音を聞きながら…
(…こんなに…痛かった、なんて……でも…)
瑠奈の笑顔を思い浮かべ、消えそうな意識を繋ぎ留め…満身創痍の身体を、再び立ち上がらせる。

(まだ、倒れるわけには…いかない…!)
あの時…暴風とともに壁に叩き付けられた桜子が、ボロボロになりながらも
再び立ち上がってきた時の気持ちが…今になって、理解できた気がした。

「グヒ…!次でトドめだぁぁ…」
ウーゴ・ケルデヴの巨体が、再び唯を目がけて迫る。
(『あの技』を出すには…一歩でいい。しっかりした踏み込みが出来れば…)
唯はオークの手汗で粘つくシャツを脱ぐと、脂で滑る地面に敷いて即席の足場を確保する。
代わりに上下とも下着姿を客席に晒す事になったが…
にわかに盛り上がる歓声も、集中力を極限まで研ぎ澄ませた今の唯には聞こえていない。
(狙うは一点…あそこなら、脂肪も薄いはず……)

「ガエルみたいにぶぢっど潰しでから、犯しごろしでやる…!…脂肉滑葬弾<ラード・スケート・ボム>!!」
一見無防備に立っているかに見える唯を、地を這うようなウーゴのショルダータックルが襲う。

「篠原流奥義…」
一方の唯は、大きく一歩踏み込みながら、ウーゴよりもさらに身を低く伏せる。
巨大な肉弾が、轟音と共に唯の頭上を通り抜ける刹那…

「地槍・千年大蛇<ちそう・せんねんおろち>!!」
地面すれすれに放たれた右拳が、高速で滑る巨漢オークの「小指」を撃ち抜いた。

138: 名無しさん :2016/11/23(水) 17:16:27 ID:???
「ア”…オォォォオオオ”ッッッ!!??」
突然の激痛に体のバランスを崩し、頭から客席へ突っ込むウーゴ。

篠原流奥義、地槍・千年大蛇…本来は向かってくる相手の脛を打つ技だが、
技を出す瞬間の姿勢が低ければ低いほど威力を増す。
両者の異常な体格差、極限まで身を低く伏せられる唯の柔軟性。
そして脛よりも遥かに小さい小指に正確に攻撃を当てる技術と集中力…
様々な要素が奇跡的に合わさって初めて可能となった、まさに神業であった。

「はぁっ…はぁっ…痛っ…!!」
構えを解いた唯の右拳に激痛が走る。それも当然と言えば当然…
あれほどの突進に対して拳を打ち込み、無傷で済むはずがない。
…だが、休んでいるわけには…いかない。

「はぁっ……はぁっ……(体力も気力も限界…だけど…)」
唯はうつぶせに倒れているウーゴの足首を取り、抱え込むように両手を回し…

(もし、この戦いに勝機があるとしたら……今しか…)
痛む右腕を、左手で掴んで無理やり固定する。この体勢は、巨体殺しの関節技…

(今を逃せばもう…後はないっ…)
アンクルホールドだ!唯は全身に残された力を振り絞り、丸太のような足首を捩じる…!
「…ここで…キメるっ…!!」

139: 名無しさん :2016/11/24(木) 01:21:53 ID:???
「ウギャアアアアアアッ!い、いでえ゛よ゛おおお゛!!だずげでおがーぢゃーん!!!」

唯のアンクルホールドは見事にウーゴの足を極めていた。やはりいくら巨体とはいえ人型である以上関節技は効果てき面だったようだ。

「ギ…ギブアップって言ってください…!」

「わ、わがっだ!!!オデの負げだ!おの負げだあああっ!」

ウーゴは泣きながら床をバンバンと叩いて自らの負けを認めた。

「殺戮妖精の関節技が決まりましたー!勝者、篠原ユイィィィィ!!!」

<ユイちゃん、やっぱり強いな!あのウーゴに勝っちまった!>
<全身怪物のヨダレまみれになっても諦めないで戦うとは…見込みがあるな>
<それにしても毎回ワンピースとか制服とか、いちいち俺たちの心を揺さぶってくれるぜ…!>


闘士専用の宿泊部屋に戻り、シャワーを浴びた唯は体を投げ出すようにしてベッドに横たわった。
この宿泊部屋は闘士の階級によって部屋の設備が異なり、唯のような下級闘士にはビジネスホテル程度の間取りである。

「はあぁっ…勝てた…!!!あと一回勝てれば瑠奈を助けられる…!」

唯が現在稼いだ賞金は8万ナーブル。目標の15万ナーブルは次に勝てば3連勝ボーナスがついて16万となる。

(今日はあんな恥ずかしい思いしたし…あんな怪物に体中ベロベロ舐められたし…人生最悪の一日だったよぉ…)

ウーゴの唾液の匂いが非常に臭かったため、唯は念入りにシャワーを浴びた。その甲斐あって悪臭は取れたものの、体中を舐められた時の嫌悪感は今も肌に染み付いてなかなか離れない。
唯は潔癖症とはいかないまでも、髪型や身だしなみには人一倍気を使う性格のためそのショックは大きかった。

(…明日どうしよう。あの服はもう着たくないけど、また今日みたいな怪物が相手でもしも負けたら、さらに戦わなくちゃいけなくなるんだよね…)

妖精の服は今も唯の隣でまばゆい光を放っている。その輝きが今も唯の心を惑わしていた…

140: 名無しさん :2016/11/24(木) 23:29:55 ID:???
「はぁっ……はぁっ………身体、が……くそっ…」
刃こぼれだらけの長剣と、下着同然の薄汚れたレザービキニアーマー。
全身至る所に包帯を巻いた傷だらけの女戦士が、おぼつかない足取りで試合場へと向かう。
彼女の階級は、この闘技場における最下層…すなわち『闘奴』。

「おいおい、またアイツかよ…今日これで何試合目だ?」
「さっき鎮痛剤と間違って、媚薬注射打たれたんだってよw」
「おいおい、あのヤブ医者も何度目だよw絶対わざとやってるだろww」
「しかも毎回ぶっ殺されて、死体もミンチ同然にされてるからな…蘇生代の借金、今いくら位だ?ww」
「例のガキも、今頃どっかで犯し殺されてるんじゃね?ww」
「そんなザマで試合場まで歩けるのかぁ?ダッコちてあげまちょうかー?」
「「「ワハハハハハ」」」

「っ…黙りなさい……私は…諦め、ない…絶対に…!」

………

<通算戦績は9勝29敗!記念すべき30敗目を黒星で飾れるか!『敗北雌犬(マケイヌ)』春川桜子ー!!>

「そ、んな……」
何気なくつけたテレビが映し出す光景に、唯は言葉を失った。
(あんなボロボロで…、あんなたくさんの魔物と一度に戦わされるなんて…)
(「29敗」ってどういう事…?あれから何日も経ってないのに…)

<この、悪魔っ…! お前のせいで、桜子お姉ちゃんは…私はお前を、絶対に許さない!!>

昼間、試合の前に出会った少女の言葉が、唯の脳裏に響き渡る。
「私の…、せい…なの……?」

141: 名無しさん :2016/11/24(木) 23:45:59 ID:???
<彼女も階級こそ『少々』下がったが、まだ闘士は続けるわけだし。いずれまた会う事もあるかもね?ヒヒヒ…>

(私も…次に負けたら、あんな風に…?……あの頃、みたいに……)
シャワーを浴びたばかりの身体が、恐怖で芯から震えだす。
唯の脳裏には、この世界に来たばかりの頃の、忌まわしい記憶が蘇っていた。

このわけのわからない世界へたった一人で放り出され、悪人、リョナラー、モンスター、殺人機械、etc…
数え切れないほどの相手に拷問まがいの苦痛を加えられ、およそ考えうるあらゆる方法で何度も何度も殺され続け、
その度に望みもしないのに蘇らされた。永久に続くかと思われた、苦痛と絶望の日々…

<もうやめてっ!唯にひどいことしないでえぇっ!>

「…瑠奈」

親友の瑠奈が、我が身の危険も顧みず自分を助けに来てくれて…どんなに心が救われたことか。
今度は、自分が彼女を助け出さなければ。もう少し、あと一勝で、それが叶うのだ。

(そうだ…私はもう…既に一人、この手で……だから、今更一人二人増えようと同じ事…)

「…瑠奈……瑠奈…私、必ずあなたを助ける。そのためなら…」
(どんなに、この手が穢れても……心が、壊れても…構わない……)

  • 最終更新:2018-01-21 22:53:26

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